少し前から気になっていた林道に入るルートです。
小さな峠は3つで最大勾配が18%ぐらいあって、距離は短かったのですが休憩を入れると4時間ぐらいかかりました。
JR山陰本線 嵯峨嵐山駅~亀岡駅まで輪行して、愛宕神社の裏参道を通って嵐山渡月橋を目指すコースです。
電車の乗車時間はたったの10分。
あっという間ですが、電車にモールトンを積んでいるだけで一気に旅気分です。
この日は雨がいつ降ってもおかしくない曇り空ということもあって、どちらかというと後ろ向きというか、なんとなくの気分で出掛けたので、嵯峨嵐山駅でモールトンを収納してる時は、正直まだモヤっとした気持ちでしたが、モールトンと一緒に駅の改札を通って、えっちらおっちらホームまで移動して電車を待つ。この行程だけで、遠いところに出かけるみたいにワクワクしてきます。
そんなわけで、とりあえず走ってみた片道輪行サイクリングのレポートです。
<本日のモデルと装備>
AM-20 Mk1: Carradice Audax サドルバッグ、DayキャリアにOSTRICH輪行袋、使わないけどフロントパニアラック(外すのが面倒だったから)。
気温20℃前後
10:23 JR嵯峨野駅到着。
この時間帯は1時間に何本か電車があるので、毎度ながら発車時刻を確認しないままモールトンを分解し始めます。発車時刻を把握していないので、ゆっくり焦らず収納できます。
天気予報は終日曇り。
駅に到着しても何となくの気持ちで出てきたので、輪行袋に収納するときも案の定「あれ?なんか違う。あれ?どこで間違ったっけ?ここかな?いや違う。あれ~?」ともたついてしまいました。結局、多少間違っても収納できるので間違ったまま輪行することに。(この場合、自立して置くことができないため、何かにもたれかけさせる形になります。)
10:52
あ~だこ~だ言いながら、2台を30分で収納してエレベーターで改札へ向かいます。
JR嵯峨嵐山駅に隣接しているトロッコ嵯峨駅。
ちょうど出発前のトロッコ列車が停まっていたので、JR嵯峨嵐山駅のホームから撮影できました。11:14発 亀岡駅行きの電車に乗ります。
11:25 亀岡駅に到着。北口へ出ます。
京都サンガスタジアムの最寄駅で、数年前に新設された亀岡駅。めっちゃ綺麗です。
組み立て開始。
広々としていて、ベンチも沢山あるので輪行にはもってこいの駅です。
12:00
亀岡駅の改札を出てすぐにコンビニが1軒あるので、今回はそこでお昼ご飯を調達しました。とりあえず出発前におにぎり2個食べて、あとは適当な場所で食べるとしてバッグに収納します。出発したらしばらくトイレ休憩ができないので、綺麗な亀岡駅でトイレを済ませておきます。
12:15
いよいよ出発です。
12:29
田んぼの向こうに見えるのが出発地点の亀岡駅周辺です。
ゆっくりと高度が上がってきています。
草むらのヒーローこと草ヒロ発見。
12:44
七谷林道手前の七谷川の橋。
一応ここにも公衆トイレがありました。
12:45
七谷林道入口です。
七谷川に沿って上流へと登っていきます。
亀岡駅近くに流れる大堰川(桂川)へと繋がっている川です。
12:48
川の音だけが響く静かな林道です。
勢いよく流れる川の音と緑にテンションが上がります。
ここは砂防指定地域で、多くの砂防堰堤が見られます。
人工的に手を加えられた川ですが、森林との調和も美しく充分に癒されます。
13:03
七谷川から大きく離れることなく、川のすぐそばを登っていきます。
比較的この辺りは緩やかな登りです。
13:17
美しい川のせせらぎに思わず降りてしまいます。
13:18
二手に分かれる道に出てきました。ここを右に曲がります。
ここまでは緩やかな上りでしたが、次の砂防記念碑までそこそこ強めの上り坂に変わっていきます。
13:22
七谷川砂防堰堤の記念碑に到着。
ここで少しひとやすみ。
13:32
再び川沿いに進んでいくと徐々に上りはじめて、道が二手に分かれます。
ここを右に曲がります。
13:40
ここから川沿いではなく、こんな感じの道になって、後に農地に変わります。
13:44
民家が見えはじめると急に勾配がキツくなりました。
ここが18%ぐらいありました。
距離は長くないんですが無理でした。
AM-Jubileeは立ち漕ぎで最後まで登ってましたけども…。
登りきった先が二手に分かれていました。
ここを左に曲がります。
試しに歩いて右に曲がってみたらこんな急坂が!
石の道標がありましたが何と書かれてあるのか読めません。
道標の方向、左へ進みます。
この辺りから集落に入ったのもあってクルマの往来が増えました。
また林道に出てきましたが、勾配も少し強めで道幅も狭いため、クルマとすれ違う時は道を譲ります。この時も平日でしたが短い区間で3~4台すれ違いました。
クルマは下りのためか結構なスピードで下ってくる、または曲がってくるので注意が必要です。
道が二手に分かれました。
本来ならここを右に曲がって水尾方面へ向かいますが、ここでちょっと寄り道。
"にほんの里100選" にも選ばれている棚田で有名な「樒原-しきみがはら-」へ行くために直進します。昼食の休憩ポイント「右京区役所 宕陰出張所」です。
13:57
右京区役所 宕陰出張所へ行くまでに出会った四所神社(原神社)。
先ほど二手に分かれた道からほんの数分のところにありました。
四所神社の境内。地元の守神なんだそうです。お参りします。
四所神社のすぐ横で右京区役所 宕蔭出張所に隣接されている「樒原特産加工場」が昼食の休憩ポイントです。2階が休憩スペースとして開放されているのでそこをお借ります。
気候が良いシーズンなら目の前に広がっている棚田を見ながら休憩するのも良いですね。
「樒原特産加工場」の1階にはトイレもあって、こちらも自由に利用できます。
「樒原特産加工場」2階の休憩室。
外観とは裏腹に?!めちゃめちゃ綺麗な憩いのスペースです。
「樒原特産加工場」の横の建物にはベンチもあります。
ここのベンチからの眺めがこんな感じです。
美しい棚田の風景が広がっています。
棚田の中も開放されていて歩いてもいいそうです。
水を張った時期も稲穂が稔る時期も綺麗でしょうね。
今回はそうでない時期でしたが、爽快な眺めでした。
どのタイミングでも美しい棚田が見られると思います。
棚田の分布図
私たちが見ている棚田はごく一部です。
地図の赤いポイントが現在地ですが、その先もずっと棚田が広がっています。
ここから先ほどの二手に分かれていた本来の水尾方面のコースへ戻ります。
14:23
愛宕神社の樒原鳥居口。
全国に約900社を数える愛宕神社の総本宮で、火伏せの神様が祀られています。
急斜面に建てられた鳥居の迫力。凄みを感じます。
ここからは登った分、延々と下っていきます。
随分と高度が下がってきました。
14:56
柚子の名産地「水尾集落」に入ります。
後ろには柚子の木です。この柚子の木のすぐそばを下っていきます。
この辺りから観光客の姿もちらほら。
水炊きなど鳥料理が楽しめて柚子風呂も入れますよ。
ここ水尾は、水尾をこよなく愛した第56代清和天皇(平安時代850年~880年)の隠棲の地であり、集落から少し離れた山の中腹には清和天皇陵もあります。
柚子の自動販売機もありますよ。
旅のお土産としてオススメです。
でもこの自販機...、お釣りが出ないシステムでして、ぴったりの金額を用意する必要があります。500円〜800円ぐらいのものが多かったと思いますが、100円と500円しか使えないのでご注意を...。
ちなみにこの近くに観光公衆トイレがあります。
いろんな種類の柚子製品がありますよ。
柚子味噌に、柚子シロップ、柚子のマーマレードは水尾で採れる”日本みつばち”の蜂蜜で作られているそうです。それと柚味胡椒は、緑と赤があって、緑は水尾産の緑のハバネロ、赤は水尾産の赤のハバネロが入っています。赤は特に辛そうですね。塩も京丹後の琴引塩を使ったりと全ての原材料が京都産なんだそうです。
このコースは義弟の通勤ルートの一つということもあって、以前ここの柚子味噌をもらったので、今回は柚子シロップ(700円)を買ってみました。
柚子味噌はナスの田楽にして食べています。おでんとか和え物にも合わせたい。義弟は焼き魚につけているそうで、それも美味しそうです。
柚子シロップはお湯で割って飲んでいます。夏は炭酸水で割るのもいいですね。
15:18
水尾集落の先にJR山陰本線「保津峡」駅があります。(駅に公衆トイレもあります。)
最後に待ち構える急坂「六丁峠」を回避したい場合や天候が怪しくなってきた場合は、ここから輪行して帰るのもひとつですね。
ここから再び登り始めます。向こうに見えるのが山陰本線の線路です。
駅もあり、ここもクルマの往来が多くなるゾーンです。
道幅も狭いので基本的にはクルマに道を譲ります。
15:28
トロッコ列車のトロッコ保津峡駅に到着。
この辺りは少し下っているので、トロッコ保津峡駅の看板を見失いがちですが、眺望が素晴らしいので寄り道します。
木製の板が敷かれた橋で、歩くとふわふわします。
この奥がトロッコ保津峡駅です。
無人駅のトロッコ保津峡駅。
この駅は乗る人も降りる人もほとんどいません。
タイミングが合えば保津川下りの船が見られます。
この後、いよいよ六丁峠へ向かう登りが始まります。
赤い色の落合橋を渡るといよいよ狭くて暗くて左右にうねりながら登っていくキツい峠に入っていきます。観光地でもあるので平日でもタクシーや乗用車、バイクが通ります。秋の紅葉シーズンはその数も増えると思うので気をつけないといけないゾーンです。
距離は短いけど厳しい坂。
赤い落合橋で観光客を乗せたタクシーとすれ違ったんですが、折り返してきそうな予感がしていたので、冷や冷やしながら途中まで頑張って登っていたんですが、予想通りタクシーが後方からやってきて、狭いつづら折りのコーナーでハンドル操作を維持できるほどのスキルと体力も残っていなかったので、追い越される少し前に自転車を降りました。
AM-Jubileeは最後まで立ち漕ぎで登り切っていたので、待ってる間に撮っていたのが上の写真です。
最後に歩いたとはいえ、先ほどのトロッコ保津峡駅が奥に見える保津川の辺りなので結構登ってきたんだなぁと実感できます。
15:56
六丁峠と書かれた看板の下に到着。
気温19℃と表示されていますが、山の中に入ると陽も遮断され気温も下がるので、この時期でも冷えます。ここからは比較的道幅は広くはなりますが、キツい下りが始まります。
愛宕神社の一の鳥居に到着!
もうここまで来たら安心です。
庭も同然?!の走り慣れた嵯峨野エリアに入ります。
画像右手にある鳥居の先には、江戸初期創業 400年続く老舗の鮎茶屋 平野屋さんがあります。静かな場所で耽りたい時に店先で”むしやしない”をいただくのが定番となっています。(”むしやしない”とは、京都のことばで食間の軽い食べ物のことをいいます。)
春の桜餅も美味ですが、米粉で蒸した”志んこ餅”が食べられるのは、今ではもうここ平野屋さんだけとのこと。春夏秋に食べられるこの”志んこ餅”、今回走ってきた愛宕神社へのつづら折れを表現した形をしていまして、古くから愛宕神社の参拝者に親しまれてきた愛宕山の名物です。
16:18
ゴール地点の嵐山渡月橋に到着!
12時過ぎに出発したので約4時間、25kmのサイクリングです。
この場所は、桂川の左岸(北側)にある保津川下りの終点にあたります。
ここから歩いてすぐのところに紅葉で有名な”宝厳院"がありまして、それはそれは美しい庭園なんですが、京都発のコーヒーブランド”%アラビカコーヒー”や”パンとエスプレッソと 嵐山庭園”なんかもここから歩いてすぐのころにあったりと、人気のスポットがたくさんあるエリアなんですね。なので「私たちさっきまで峠道を走ってきたんだよね?」と一瞬忘れるぐらいなんですが、またそのギャップが楽しかったです。疲れも忘れてしまいます。
そんな食に困らない嵐山ですが、結局お昼休憩もせずに最後まで走ったので、ここでゆっくり亀岡駅で買ったおにぎりを食べました。
もうお腹ペコペコです。平野屋さんが見えた辺りから安心してか、お腹減ったぁ~~~ってなりました。やっぱりお腹の減り方がいつもと全然違いますね。すっきりと消化されてる感じがします。
この辺りには石のベンチが所々にあるのでオススメの休憩ポイントです。
これは夏に撮った写真ですが、同じベンチからの眺めです。
ちょうどここが保津川下りの降り場になっていて到着時は結構な人通りがありますが、皆さん楽しそうに降りてこられるので嫌いじゃないです。
もう少し奥へ行くと落ち着いた雰囲気になって川の風景も変わります。
ここもまったりできるのでオススメです。
今日感じたポジションのことやギアの構成など、走ると色々と改善点がはっきりしてきます。改めてポジションを変えたいと思いましたし、ギア構成については至急改善したいと思いました。ここは由々しき問題です。本当に目指せスーパーローギア。目指せ一対一越えです。
今回はAM-Jubileeを出動させていましたが、過去に何度かこのコースをダブルパイロンでも走ったことがあったそうで、今回は感じ方が全然違ったそうです。10年前はクルッと走ってくるみたいな感じで今回ほど色々と感じることはなかったそうです。この変化が何なのかいまだ分かっていないそうですが、とにかく静かで心地よい時間が過ごせたとのこと。
あれこれと感想を言い合って、小一時間ほどまったりして帰路につきました。
今回のコースは、ゴールしてからもゆっくりと一息つける楽しいコースだったなぁと感じました。片道輪行さまさまですね。ワープしたことで時間の余裕がたくさんできました。
終わり良ければ全てよし。じゃないですけど、最後にこんなにまったりと観光気分が味わえたのは楽しかったです。嵐山は行き慣れた場所ですが、それまでの道のりが全然違うので気持ちも違います。
平坦路がなく、上り続けて下り続けるを3回繰り返すので楽ではありませんが、身近な場所でも走りごたえがあって充分楽しめました。
林道を除いては、クルマでも何回か通ったことのあるルートでしたが、道幅が狭く山深いところには自転車がぴったりですね。
静けさの中にある川の音、木々の音、鳥の声、花の香りなど五感をたくさん感じるので、クルマで走るより断然好きです。
たった10分の輪行旅でこんな気持ちになれたのは新しい発見で嬉しい体験でした。
この電車10分間のワープを加えることで、時間短縮=サイクリングの時間が増やせたので、コースの幅も広がるというか、多少過酷でもチャレンジしてみようかなと思えるキッカケにもなりました。
初めての片道輪行でしたが、想像していたより何倍も気軽だったので、やっぱりやってみないと分からないもんだなぁと思いました。
大人になると、行動よりも先に不安や心配などの思考が先行してしまいがちのような気もするので、子供の頃にように純粋にやってみるというのも良いかもですね。
とはいえモールトンの輪行は、折り畳たたみ自転車に比べて、バッグに収納するのにも時間が掛かりますし、小径車の中では収納サイズも大きく、転がすこともできません。重量も軽くないですしね…。気後れする部分も多いかと思いますが、組み立てて乗ってしまえばこっちのもんです。爽快そのもの、人馬一体です。
こういった短い片道輪行でも立派な輪行体験になると思いますので、チャレンジしてみたいなと思っていらっしゃる方へ少しでもヒントになれば嬉しいです。
ただ輪行するとフレームやパーツに傷や凹みが出来てしまうことも当然あります。その瞬間は「やってしまった」となりますが、それも踏まえて輪行だと思っています。一応タッチアップしたり、凹み部分に超極小のステッカー貼ったりして小細工はしていますが、その使用感も味になるので、基本的には気にせず輪行を楽しんでいます。
ちなみに、下の画像は凹みを小細工でごまかしているAM-GTです。
ベースがクリアな透明ステッカーの一部だけを切り取ってトラスの幅に合わせて貼っています。
凹ましてから、かれこれ15年以上は経過していますが、なんとか維持できていますね。
久しぶりにまじまじと見てみたら文字の色も抜けて消えかかっていますが、上手くごまかせているんじゃないかと...。これも味です。(←無理やり!)
今回も無料ルート作成アプリ「Ride with GPS」でコースを作成して、GPS機能付きサイクルコンピューターGARMINに読み込みました。