2003年に購入していただいたAM-18のレストア事例です。
丁寧にお手入れされていましたが、ロングツーリングやブルベなどにも使われていたので、錆が塗装の下から浮き出るなどの症状が出ていました。 |
錆が出ていたステムも再メッキしました。 |
左)AM-18はモールトン17インチシリーズで唯一、フレクシターピボット&ハイドロラスティックを組み合わたモデルです。
右)キングピンのアルミキャップも再アルマイト処理済み。
ロングツーリングやブルベ等でトラブルが発生しても対処しやすいように
ブレーキレバーとシフトレバーが別体になったシンプルな構造をした
ダウンチューブレバーを希望されました。 |
組み付けに少し難儀したDura-Ace 9100のクランク。
AM-18特有のフレクシターピボットが、
左右どちらのクランクアームにも干渉するので少し手間取りました。
ディレイラーの張り出しが少ないシャドー形状の9100。 デザインもコンパクトです。 |
リアハブとスプロケットもDura-Ace 9100へ変更。 |
ーーーーー作業編ーーーーー
お預かりした状態のSafari Green。 |
まずは、パーツを取り外して洗浄していきます。
使えるものは使うため、丁寧に洗浄してグリスアップします。 エントリーグレードの場合は、 リペアパーツが無かったりする事が多いですが、 上位グレードだどこういったオーバーホールも可能になる事があります。 |
再塗装前の準備として、フレクシタースプリングを取り外します。
ここではフレクシタースプリングを脱着するために製作した
Moku2+4 スペシャルツールを使います。
これを取り外す専用工具が存在しないのでオリジナルで製作しましたが、
取り外さずにフレクシタースプリングにマスキングをするという方法も
無きにしもあらずですが、錆の具合などフレーム内部の状況が確認できないので、
ここはしっかり取り外します。
クルマの再塗装でいうと、窓ガラスを外さずに塗装するのと同じことですね。
フレクシターピボット(左)は、メタルブッシュ(右)よりも軸長が長いため
クランクセットを取り付ける際に苦労する事も多いですが、とても軽量に出来ています。
Double Pylonなど上位モデルのフロントサスペンションと同じ
ラバースプリング(フレクシター)が、ピボットに採用されています。
ひとまず再塗装に出す準備が整いました。 |
塗装へ出す前に、錆の状態を確認します。
塗膜の下から錆が浮いてきています。
ステムにも錆がありました。 |
通常の再塗装は、錆もフレームの状態も大きな問題はないと判断した場合は、元の色を剥離して新しい色を塗装するという流れになりますが、 今回の場合は、塗膜の下から錆が浮き出ていたので、どのくらい錆が進行しているのか自分の目で直接確認して錆を除去したかったので、一旦剥離した状態で返送してもらいました。 |
サンドブラストで錆を取り除いた後、やっと塗装に出します。
再塗装が仕上がった状態。 |
シートチューブ内やフレーム分割部分などに塗装膜が付いているので研磨をします。
フレクシターを圧入する際もMoku2+4 スペシャルツールを使います。
キングピンのアルミキャップのキズが深かったので、
研磨してからアルマイトし直しました。
キングピンアルミキャップの下に位置する、フレーム固定ボルトはこんな感じで錆びているので、サンドブラストで錆を落とします。
錆を落としてから(左)防錆のためクリアー塗装をしておきます(右)。
フロントバッチのピンも新しい物に交換します。
ピンを差した後、綺麗に折り曲げるのに案外手間がかかります。
このAM-18を購入された2003年時は、 フレームアライメント定盤は無かったので、この機会に点検します。 |
アライメント確認後、左右の位置が少し異なっていました。
エンドを少し削って、左右のエンド位置の誤差を修正します。 |
フロントフォークのアライメントも点検。 |
フォークエンドのブッシュも交換します。
ひとまず、フレームの作業が完成。 ここからコンポーネントを取り付けていきます。 |
ホイールのハブ軸がリアエンドよりも突き出しているので、
ハブを分解してパーツを旋盤で削ります。
AM-18は、リアフォークのピボット幅が広いので、
DURA-Ace9100のクランクセットを取り付けると
左右のクランクアームがフレームピボットと干渉します。
右側は内側のチェーンリングを少し削り、
左側はピボットボルトの頭を斜めに1mm削りました。