2016-12-11

Alex Moulton AM-20 MK2(New Blue) / Campagnolo ATHENA

New Blueというメタリックの入ったとても綺麗なブルーです。
メインコンポーネントはCampagnolo ATHENA。

ハンドルステムはスレッド仕様のNITTO製。
バーテープはBROOKS カンビウム ラバー、サドルも同じくカンビウムC15


            ーーーーーー組み立て編ーーーーー


まずは、リアフォークの動きから確認します。
リアフォークをガタなくスムーズに動かすために、ピボットスピンドルを取り外して旋盤加工します。

フレーム分割部の構成パーツを取り外して点検&グリスアップ。

フレーム側にバリがあれば、ペーパーでヤスリがけをします。

いつからか分かりませんが、フレーム分割部分のキングピンが少しだけマイナーチェンジされていて、固定方法が芋ネジに変更されました。

AMシリーズは、このキングピンを緩めてメインフレームを分解しますが、キングピンのノブを回しても全体が供回りしないように芋ネジを採用してきたようです。

芋ネジとは、ネジのストッパーが無いため、止まることなくネジが入り込んでいく特徴を持っています。

ということは、この芋ネジを底付きするまで締めすぎると、フレーム分解時にキングピンが固定してしまってスライドできなくなるので、芋ネジまで緩める必要が出てきます。
かといって、スライドできるぐらいの締め具合で、緩めたままの走行も気付かないうちに脱落する可能性も出てきます。

ボルトが緩みにくいように、緩み止め剤などの対策をしておけば、このような工作はしなくてもいいんでしょうけど、初期のダブルパイロンステンレス(分割タイプ)は、きちんとボルトを加工して取り付けていました。
ボルトにしておけば、グリスを塗ってかっちりと締め付けられますからね。

市販のボルトを加工しながら、フレームに合うように製作します。

左画像)加工前のボルト(左側)
右画像)加工後のボルト(左側)

製作したボルト先端に擦れるキングピン側を軽く研磨。

完成です。
これで供回りせずにキングピンが固定でき、なおかつフレーム分解時にはスライドできる仕様になりました。

ここからフレームの下処理。

フレームを錠盤にセット。
フレームアライメントの点検。
Mokuならではの大事な作業です。
次は、フロントフォークAssy(組み立てられて届いたフォーク)を一度分解します。
フレームと同じくフォークもアライメント点検。
サスペンションをスムーズに動かすための作業ですが、モールトンはこのアライメント以外に、サスペンションピストンやボトムリンクの加工まで施してスムーズに動くようになります。

細かな作業を終えると、再度フォークを組み立てます。
フォークをアッセンブルした状態でも再度アライメントをしますが、
この作業はホイールの位置が正しい位置に収まるかの確認です。

フレームの下処理が出来てようやくコンポーネントの組み付けに入ることが出来ますが、
その前に前後のホイールハブを一旦分解して、ハブ軸を旋盤で加工します。
モールトンのAMシリーズはフレームエンドの厚みが薄いため、そのままホイールを取り付けてクイックシャフトを締めてもホイールの固定力が弱いことが多いからです。

「じゃんじゃん乗り倒そうと思ってモールトンを買いました」と言っておられたオーナーですが、ロードなど他にも自転車を所有されていて、普段は50km前後の距離を楽しまれているそうですが、時々160kmのロングライドも楽しんでおられます。

納車当日に軽く試乗していただきましたが、「めちゃめちゃ乗りやすい!想像していたよりも何倍もいい!」と感激されていました。
その言葉にとても感情が込められていたので嬉しくなりました。
この「乗りやすい」という感覚は人それぞれなのですが、モールトン自体が、とか何か一つが優れているというわけではなくて、作業一つ一つの積み重ねも含めて「乗り易い」と言っていただけたのかなと思っています。
ここまで細かく加工しながら組み立てて、やっとモールトンの本領発揮ですね。