リアフォークのピボットスピンドルを加工します。 赤い「→」のピボットスピンドルがほんの少しだけ(約0.6mm)出ています。とりあえず、一度フレームにリアフォークを取り付けて動きを確認します。その動きの状況によって削る長さを決めますが、車体によってスピンドルの“出しろ”が異なるので毎回現物合わせで確認します。 本国より届いた状態は、大抵このスピンドルが長くて、そのまま組み立てても一応乗ることは出来るので問題は無いんですが、きちんとスピンドルの長さを合わせておくとフレームのガタも出にくくなります。 ガタが発生している自転車に乗っていたとしても、走っている最中に体感できるかというとなかなか難しいんですが、体感出来る、出来ないに関わらず、ガタの出ている自転車は確実に抵抗を受けています。このようなところもMoultonのセッティングで押さえておきたいところです。 |
ピボットスピンドルを加工中。 |
今度は、リアフォークとメインフレームを繋ぎ合わせるボルト(ピボットボルト)の加工です。
納品される時期によってフレームに組まれているピボットボルトもまちまちで、ボルト全部にネジが切ってある『全ネジタイプ』と、画像左のような『先のほうだけネジが切ってあるタイプ』の2種類があります。
先だけネジが切ってあるボルトは、大抵のネジがきちんと切られていないため途中までしかナットが入りません。画像左はボルトのネジ切りが甘いため、これ以上ナットが奥まで回らずにフレームとの間に隙間が空いている状態です。
この隙間に付属のワッシャーを入れると隙間は無くなり問題なさそうですが、このままではしっかりとボルトが締まりません。ネジが綺麗に切れてないためネジの途中で止まって固くなっているだけで、締まっているような感覚になりますがそれは錯覚です。このピボットボルトとナットでリアフォークをきっちりと挟まないと、ガタが出やすくフレームの剛性がかなり落ちてしまいます。
画像右はネジ山を切り直しているところです。
自動車のサスペンションは、廻りにあるリンクなどの剛性が不足していたりガタがあるとサスペンションとして正確に働きません。モールトンのサスペンションも自動車と全く同じですね。
フレームアライメントの点検とリアフォークピボットの点検です。 名高いロードバイクメーカーでも、アライメント(芯出し)がしっかりと出ているフレームはなかなか無いと思います。(フレームビルダーさんなどは除きますが) 今の時代に細かくアライメント調整をして出荷していると生産効率が上がらないでしょうね。 |
画像左:修正前、 画像右:修正後。
フレームエンドのアライメント修正です。
フレームの中心からフレームエンドが左右にどれだけ開いて(ズレて)いるか確認して修正します。
左画像はフレームと黒い工具との間に約3mmほど隙間が空いていますが、Moultonは本当にいつもこんな感じの精度です。もう少し本国で頑張って欲しいなと思うのですが…。
このホイールのハブはShimano ULTEGRAですが、Shimanoの新品上位機種と言えどもハブの締め付け具合にバラツキがありますね。少し回りが堅かったので調整しました。この少しづつの調整が組み上がったときの乗り味に影響してきます。 ハブはディレイラーなんかと違って調整しなくても走行することができますが、新品であっても個体差はあるので個々の動きの確認は大切です。細かいことですが新品でも違和感があれば調整し直します。 |
やっとフレームの下準備が出来て、パーツも取り付け始めました。 良いモールトンに仕上げるべく、細かくいろんな作業をしていくとMoultonは1日、2日で組み立てる事は出来ませんね。たくさんの自転車が存在する中でMoultonを選ばれたので、良いモールトンに乗ってもらいたいです。 |