2022-08-29

Moulton APB レストア&フルカスタマイズ

 APBのレストア&カスタマイズのご依頼です。
元色のシルバーからメタリックキャンティに再塗装しています。
御依頼主の熱意が随所に注ぎ込まれた渾身の1台です。

御依頼主から送っていただいたカラーサンプを元に
リペインティングしましたが良い色ですね。
塗装に関しては外注に出していますが、
こちらの塗装は通常のものより工程が多いとのこと、
実車を見ると細い一本一本のパイプから
深みや奥行きが感じられる魅力的なモールトンに仕上がっています。

納車前に試乗したのですが、
乗った瞬間「あっ!これめっちゃ楽しい!」ってなりました。
シマノの内装ギアにベルトドライブの組み合わせですが、
ほぼ無音でペダリングがとても回しやすい。
仕事中でしたがそのままどこかへ行ってしまいそうでした。

前後キャリアはフレームと同色。

泥よけもフレームと同色です。
あまり事例がないのですが、個人的に同色フェンダー好きです。

細部のコンポーネントは徹底的にブラックと赤系統で配色されています。

前後ブレーキはアメリカ製"PUAL"のブラック&レッド。

左)シマノ ALFINE 11速内装ハブ
右)ドイツ製"SON"のフロントハブダイナモ


スポークは日本製"HOSHIスポーク"のWing Starに、ニップルはレッド。

ハブダイナモライトの取り付け方法として当初考えていたのは、
サブフォークに、下から上に伸びるライトステーで固定しようと
考えていましたが、
大きな段差やパニアバッグに重たい荷物を積み込んだ時など、
サスペンションが大きく動いた時に
ドリンクケージとライト本体が干渉しそうだったので、
パニアラック側からステーを吊るす方法で取り付けました。

サブフォーク側にステーを取り付けると
サスペンションが働いている間はライトステーにも微振動が伝わっているので
ステーが折れやすい状況になってしまう。
それを避けたかったのでこの方法でヘッドライトを取り付けました。

ダイナモライトステーは、ワンオフで製作しました。

スレンレス素材なので、銀ロウ付けで製作。

ベルトドライブ。

ペダルも赤のアルマイト仕様。

ヘッドはアメリカ製"CHRIS KING"。

左)モールトン純正大型アルミロックリング。
右)ワンオフ製作のシートポストシム
共に赤アルマイト仕様に。

左)サドルは"BROOKS" CAMBIUM ブラック
右)シートポストはアメリカ"THOMSON"

ステムは "NITTO" のブラック&レッド。

シフトレバーは、シマノ内装11速を動かせるmicroshift製。

ブレーキケーブルは、ローズ色。


            ーーーー<ここから作業編>ーーーー

塗装剥離前
元色はシルバーです。各部細かいところに錆がありました。


リペインティングに選ばれた色はメタリックキャンティでした。

シートチューブ内は軽く研磨します。


ピボットブッシュ(左)やカンチブレーキ台座(右)などを下処理。


ヘッドチューブフェースカット後(左)、ヘッドセット(右)を圧入。


フレームアライメント点検。

左右のリアエンド位置がズレているので、修正します。

フロントフォークの下処理。

左)ラバーコーンプッシャーの研磨。
右)サスペンションアジャスターのグリス溜まり加工。


フォークエンドブッシュの圧入準備。

メインフォークアライメント点検&修正。


サブフォーク(スタラップ)のアライメント点検。

厚み2mm弱のフレームエンドアダプター

Vブレーキシューの高さとブレーキ台座の相性があまり良くなかったので、
エンドアダプターをサブフォークに圧入しました。

作業画像はざっとこんな感じです。
要点だけを載せました。


今回ご依頼いただいたレストア&カスタマイズは、
御依頼主からのご要望で初めて組み合わる仕様だったのですが、
率直に楽しいモールトンだなぁと感じました。
納車当日も奈良県まで自走で帰られて、
ガンガン使って楽しみたいとおっしゃってました。

ベルトドライブの摩擦抵抗の軽さも走ってて嬉しくなりますし、
チェーンオイルの汚れも気にしなくて済むので、雨の日仕様にももってこいです。
シマノ ALFINE とmicroshiftの組み合わせも面白いなぁと思いました。
静かで軽くてスムーズ、気持ち良いシフトチェンジも楽しかったです。

ベルトドライブ
シマノ ALFINE 内装11s
microshifシフトレバー
めちゃくちゃ楽しかったので、自身のモールトンに組み込みたいと計画中です。