英国モールトン社での購入履歴やメンテナンス書類が揃っている
希少なフルオリジナルのAM-7。
隅々まで錆を落とし、綺麗な素地になりました。
今回は目視でも塗装の下から錆が浮いてきているのが確認されたため、
このように錆が多く発生している場合は、
塗装を剥がして錆による腐食の程度を自分の目で確認しておきたいので、
剥離作業もMoku2+4本店の工房で行います。
塗装屋さんに外注に出せば、塗装の下準備のために
錆で腐食しているところの凹凸をパテでなだらかに整えることが多いと思います。
パテ修正でもほぼ問題ないと思いますが、
モールトンのフレーム部材は特殊で、肉厚の薄いパイプの集合体なため、
デリケートな素材の強度を少しでも確保したいので、
腐食による凹凸はパテではなく、なるべくロウ付けをして修正します。
そういう理由からここまでの作業をMoku2+4本店の工房で内製しています。
自動車ボディ修理も、昔は板金ハンダという作業がありましたが、
手間がかかりすぎるので、現在はパテが主流です。
ただ、旧車のレストアでは今でも板金ハンダ等を使って修正されていることも
多いと思います。
ロウ付けした後は、フラックスを落として鉄ヤスリで滑からにしていきます。
パテに比べて工程が多く、手間がとても掛かります。
腐食の修正を終えると、次はウイッシュボーンステムを取り付けるための
カスタマイズ作業です。
AM-7のヘッドバッジは、ヘッドチューブ上方にあるため、
ヘッドチューブをカットすると、ヘッドバッジを止めているリベット穴が無くなるため、
穴を開け直す作業が必要になります。
ヘッドバッジがヘッドチューブの中心に取り付けられるように、
ヘッドチューブの中心線を罫書いて(けがいて)印をつけておきます。
ヘッドバッジの元穴は使わないため、ロウで埋めます。
ロウで埋めた後は、フラックスを落としヤスリで整えます。
外側の穴は整えましたが、内側も整えなければなりません。
この状態だとヘッドセットの種類によっては、ヘッドワンが圧入できない可能もあります。
錆び取りなどのフレームの下処理作業後、再塗装から戻ってきました。
色は、クラシック・ミニのブルックランズ・グリーンです。
組み立てについても、細かな作業を積み重ねていきます。
組み立て作業の画像をポイントで撮影しました。
ピボットのリーマー掛け、ボトムブラケットのフェイスカット、
クランクアームのチェーンリング取付穴が少し合わなかったので、リューターで削ります。