2022-02-14

Moku2+4 Original SST - Royal Blue (ロイヤルブルー/ 別注カラー)

 

Moku2+4 オリジナル「Moulton SST - Royal Blue」が完成しました。

SSTのフレームキットをベースに組み上げたものですが、
AMシリーズが作られているBradford-on-Avonのファクトリーで塗装された別注品です。
従来品とは塗装方法も塗料も異なるので、また違った雰囲気のSSTになっています。

コンフォートでどこか懐かしいクラシカルな雰囲気に仕上げました。
Sold out

左)クランクセットは細身でシンプルなデザインの日本メーカーSUGINOに合わせて、
made in franceのTA製を合わせました。

現在このようなクラシカルなデザインのパーツは
日本で手に入りにくくなってきていますが、
スマートで繊細なデザインのパーツが加わわることで
フレームカラーRoyal Blueをより上品で洗練された雰囲気に。

前後のハブはシマノ105(R7000)。
ハブについては、走りの心地良さを体感しやすい部品なので
信頼性の高いShimanoかCampagnoloを選びます。
今回はSilverカラーが展開されているShimanoを選択しました。
使い捨てではなくアフターケアが長期で出来るという部分でこの2社は外せません。

モールトンのリアフレームエンド幅について昨年辺りから、
旧ロードバイク規格の130mm幅から、
旧MTB規格の135mmに変更になりつつあります。

SSTのリアフレームは、旧MTB規格 135mm を採用していますが、
今回装着するShimano 105はロード用のハブ 130mm なので
規格が合わないためそのままでは取り付けできません。
そのため、Moku2+4ではShimano 105のハブを一度分解し、
パーツの一部を加工又は製作して135mm幅に仕様変更しています。

このようなハブの組み替え作業はMoku2+4ではよく行うカスタムですが、
その際、ハブの玉あたり調整も漏れなくしています。
新品のハブであっても調整するか、しないかで大きく転がり抵抗が変わるため、
Moku2+4では新品のハブでも調整は必須です。

左)サドルの茶色に合わせてスキンサイドのタイヤを選びました。
右)クラシカルさを引き立たすポリッシュ仕上げの

このMoku2+4オリジナルマッドガードは、
AM純正のような切りっぱなしのアルミ板ではなく、
切れ端をぐるりと一周細かく折り返しているところが特徴です。
端が整っているのでより丸みを帯びたデザインになって
全体的にも柔らかい雰囲気になるんです。

今回組み立てたモールトンの特徴でもあるシフトレバー。

クラシカルな特徴をさらに引き立たせるために
ヴィンテージ(Shimano製)のシフターカバーを取り付けました。
こんな小さなアイテムですが、
ハンドル周りがポテっとして優しい良い雰囲気になるのでお気に入りです。

ハンドルとステムは、made in Japanの日東製です。

シフターケーブルは、フレームのロイヤルブルーの色味に近づけてインディゴブルーを選択。
定番の黒色のワイヤーよりも洗練された印象に。

ブレーキレバーには、補助レバー(セーフティーレバー)と一体構造の
ダイアコンペ(DIA-COMP)製を取り付けました。
ブレーキレバーと一体となっている補助レバーのおかげで、
ドロップハンドルでありながら上体を起こして乗れるため、シティライドとの相性は抜群です。

ブラケットカバーもサドルとタイヤの茶色に合わせました。

さらに快適にするため、バーテープではなくクッション製の高いスポンジグリップにしました。
このブレーキレバーとスポンジグリップの組み合わせはとても快適です。
クッション性が高く、程よいグリップ感もあるので滑りにくくて楽です。

ブレーキケーブルは、シフターカバーに合わせてビンテージ調の白(艶消し)を選択しました。

本革サドルは、BROOKS社製 プロフェッショナルのBrownを合わせました。


            ーーーーーここから作業編ですーーーーー
ボトムブラケットハンガーのタッピングやフェースカット、リアフォークピボットの調整が
出来たら、フレームアライメントを点検するため定盤にセット。

シートチューブセンターを測かってから、ヘッドチューブセンターを確認。

シートチューブボトムブラケットを基準に、リアセンターを点検。

フロントフォークのアライメントを点検。

スタラップ (サブフォーク)も点検。

左右エンド位置がズレていたので、少し削って調整します。
荒削りの後はリューターで削り面を滑らかに整えます。

フォーククラウンのフェースカット。

左)ステムシフタークランプを取り付けるため、コラムスペーサーの長さを旋盤で削って調整。
右)リアハブを130mmから135mmに改造するため、ハブ軸を加工。

マットガードを取り付ける際は、ブレーキのピボットナットを現物合わせで加工しています。

ブレーキを装着する際、
ブレーキピボットナットピボットボルトをねじ込むのですが、
マッドガードの取付部品とブレーキを共締めする形になるので、
付属のブレーキピボットナットでは長さが足りない事が多いです。

ボルトのネジ山とナットの噛む量を増やしたい、正しい形で取り付けたいので、
付属されているピボットナットを使わずに別のピボットナットに変えますが、
ジャストサイズのピボットナットがないため最適な長さに加工します。
このようにマッドガードだけでなく、
ブレーキと共締めで装着するパーツが他にもあるので、
Shimanoからもブレーキピボットナットは幾つかのサイズが展開されていますが、
Moku2+4でも幾つかサイズをストックして
取り付けるパーツに合わせてピボットナットを加工しています。

組み立て作業で撮りためた画像はこんな感じです。


今回は、これまでMoku2+4で組み上げてきたモールトンSSTの中でも
一段とクラシカルな雰囲気に仕上げてみました。

ハンドルの上から伸びるブレーキワイヤーなんかが特にクラシカルなんですが、
現在主に使われるブレーキとシフトが一体化されたデュアルコントロールレバー
(ShimanoではSTI、Campagnoloではエルゴパワーと呼ばれています)
とはまた違った雰囲気が出てきます。

デュアルコントロールレバーとはまた違った操作感が味わえるこのブレーキレバーシフター、そしてスポンジグリップの組み合わせは見た目だけでなくオススメです。

その中で、上体が起きたアップライトな姿勢から、
手元を大きく離さずにブレーキシフトレバーが取り付けられるか
という点は組む上で気に掛けました。

フレームのダウンチューブ台座にシフトレバーを装着する場合、
操作の際に結構ハンドルから手が離れてしまうのと、上体を屈せることになるので、
ある程度の「慣れ」が必要になってきます。
でもこのシフトレバーの位置ならハンドルからも近いですし、
目線を大きく下げることもなくシフトチェンジとブレーキ操作ができるので安心です。

またこのRoyal Blueに組み込む前に、通勤で使っているAM-GTに装着して
しばらく動作確認もしましたが、
乗りやすかったですし、扱いやすくて楽しかったので採用しました。

走行を楽しむ上で、
シフト操作の快適性、ブレーキ操作の安心性
欠かせないと思っています。
なのでやはり乗車ポジションは重要視しています。
ご自身の体型や乗り方に合わない自転車に乗っても
ストレスフルで楽しめないと思うので。

このSST Royal Blueは、見た目はクラシックスタイルですが、
Moku2+4にとって新しい取り組みをしているモールトンです。
ぜひこのモールトンで楽しさを体感していただきたいです。

モールトンはどのモデルに関しても、
今回のようなクラシカルラインだったり、
スポーティーライン、コンフォートライン、旅仕様など、
ユーザーさんの環境やスタイルに合わせて変化のできる自転車です。
また今回のようにモールトンの新しい楽しみ方が提案ができることを嬉しく思います。