2013-10-12

AM-New Series (British Green) 非分割フレーム 組み立て

AM-New Series 非分割フレームの組み立てです。

まずはオーダの流れから。
愛知県から来店されて、
「身長が高いんですが、私が乗れるMoultonはありますか?」と尋ねられました。
ご自身では非分割モデルのSingle Pylonになるのかなと思われていましたが、
実際に身長と股下を計らせてもらうと、
身長が187.8cmで股下もかなり長かったので、
この場合だとフレームから出るシートポストの分量がかなり長くなってしまって、
外径27.2φでは長過ぎて、シートポストが”しなって”しまうと思ったので、
この場ではすぐにどのモデルがベストなのかは判断せず、
メーカーと相談してから再度連絡することになりました。

仮にDouble Pylon、Single Pylonでポジションを考えると、
この場合、400mm以上のシートポストが必要で、
400mm自体がそもそも種類が少ない上に、
ブルベの200kmや400kmなどにも参加されていて、
いつかMoultonで出てみてもいいかなと言われていたので、
シートポストが出過ぎて"しなる"のは、余計にまずいんじゃないかと、
少しお時間をいただきました。


メーカーに確認する前に、
頭だけじゃなくて、目でも確認しておきたかったので、
シートチューブ長を延長した場合を想定して、
実際に内径27.2φのパイプを切って試してみました。

パイプに色を塗って、想像してるイメージに近づけます。

左)シートチューブを延長した時のイメージ。
右)延長せずそのままオーダーすると、これだけシートポストが出てしまいます。
これよりもあともう少しシートポストを長く突き出さないとポジションが出ないので、
これではやはり長過ぎて不安です。

こうやってイメージを具体化すると、正直なところ、手間は掛かかりますが、
はっきりと方向性が見えるので時々こういうことをしています。

そこで、通常のモデルだと難しいと判断したので、
Single Pylonのシートチューブ長を延長することはできるか本国に確認しました。
結果は、治具の関係上シートチューブの延長は出来ないという事でした。

自分で治具を作って、Singel Pylonのシートチューブのロウ付けを外して、
新たに延長したシートチューブをロウ付けしようかとも考えましたが、
よくよく考えると、延長しても外径が細いので、しなりそうだなと思い、
この考えは却下しました。

さらに、Moulton日本総代理店ダイナベクター(株)代表の富成氏ご自身も
185cmぐらいの身長なので、パイプ径について確認のため聞いて見ると
「その場合だと27.2φだったらしなりますよ」
と言われたので、27.2φ自体を却下しました。

いろいろと考えた結果、
シートポストが長くて太い(外径が35φ) New Seriesを選択して、
分割は必要無いと言われていたので、非分割フレームで特別にオーダーしました。
さらに、スレッド式のウイッシュボーンステムでは
体格の良いオーナーには剛性が少し足りないかもしれないと考え、
A-Head 仕様にしてもらい、コラムも長くしてもらうよう、
こちらも特別にオーダーしました。

ここから組み立てに入ります。
フロントサスペンションを分解して、ヘッドベアリングを取り外します。
いつも精度が悪いのでヘッドチューブをフェイスカットして、
ヘッドワンを圧入し直します。

ヘッドコラムの下玉押しを取り外して、フェイスカットします。

左)フェイスカット前、右)フェイスカット後。

フレームの下処理が出来たら、錠盤にセットします。
エンドは少しズレていたので修正します。
フレームのアライメント作業が出来たので、組み立ててきます。

他にもロードバイクを所有されていて、
メーターはGarmin Edge 700Jを使われていますが、
モールトンとも兼用したいという事でメーターを加工しました。
Garmin Edge 700Jは、ケイデンス・スピードセンサーが一体式なので、
小径車では配線が届かないので本来なら装着不可ですが、
メーターを分解し、スピードセンサーの配線を切って延長しました。
思っていたより細い配線でしたね。
配線にはメッシュの被覆カバーを取付ました。
アルミ削り出しの台座にセンサーを取り付けて、こんな感じで仕上がりました。

完成です。

京都にはちょくちょく自転車のツーリングで来られていたので、
納車当日も名古屋まで自走で帰られる予定でしたが、
この日はご家族と京都を観光して帰られました。

Moku2+4のサイトに拡大画像を載せました。