AM-New Series 非分割フレームの組み立てです。
まずはオーダの流れから。
愛知県から来店されて、
「身長が高いんですが、私が乗れるMoultonはありますか?」と尋ねられました。
ご自身では非分割モデルのSingle Pylonになるのかなと思われていましたが、
実際に身長と股下を計らせてもらうと、
身長が187.8cmで股下もかなり長かったので、
この場合だとフレームから出るシートポストの分量がかなり長くなってしまって、
外径27.2φでは長過ぎて、シートポストが”しなって”しまうと思ったので、
この場ではすぐにどのモデルがベストなのかは判断せず、
メーカーと相談してから再度連絡することになりました。
仮にDouble Pylon、Single Pylonでポジションを考えると、
この場合、400mm以上のシートポストが必要で、
400mm自体がそもそも種類が少ない上に、
ブルベの200kmや400kmなどにも参加されていて、
いつかMoultonで出てみてもいいかなと言われていたので、
シートポストが出過ぎて"しなる"のは、余計にまずいんじゃないかと、
少しお時間をいただきました。
頭だけじゃなくて、目でも確認しておきたかったので、
シートチューブ長を延長した場合を想定して、
実際に内径27.2φのパイプを切って試してみました。
パイプに色を塗って、想像してるイメージに近づけます。 |
左)シートチューブを延長した時のイメージ。
右)延長せずそのままオーダーすると、これだけシートポストが出てしまいます。
これよりもあともう少しシートポストを長く突き出さないとポジションが出ないので、
これではやはり長過ぎて不安です。
こうやってイメージを具体化すると、正直なところ、手間は掛かかりますが、
はっきりと方向性が見えるので時々こういうことをしています。
そこで、通常のモデルだと難しいと判断したので、
Single Pylonのシートチューブ長を延長することはできるか本国に確認しました。
結果は、治具の関係上シートチューブの延長は出来ないという事でした。
自分で治具を作って、Singel Pylonのシートチューブのロウ付けを外して、
新たに延長したシートチューブをロウ付けしようかとも考えましたが、
よくよく考えると、延長しても外径が細いので、しなりそうだなと思い、
この考えは却下しました。
新たに延長したシートチューブをロウ付けしようかとも考えましたが、
よくよく考えると、延長しても外径が細いので、しなりそうだなと思い、
この考えは却下しました。
さらに、Moulton日本総代理店ダイナベクター(株)代表の富成氏ご自身も
185cmぐらいの身長なので、パイプ径について確認のため聞いて見ると
「その場合だと27.2φだったらしなりますよ」
と言われたので、27.2φ自体を却下しました。
いろいろと考えた結果、 シートポストが長くて太い(外径が35φ) New Seriesを選択して、 分割は必要無いと言われていたので、非分割フレームで特別にオーダーしました。 さらに、スレッド式のウイッシュボーンステムでは 体格の良いオーナーには剛性が少し足りないかもしれないと考え、 A-Head 仕様にしてもらい、コラムも長くしてもらうよう、 こちらも特別にオーダーしました。 |
ここから組み立てに入ります。 フロントサスペンションを分解して、ヘッドベアリングを取り外します。 いつも精度が悪いのでヘッドチューブをフェイスカットして、 ヘッドワンを圧入し直します。 |
ヘッドコラムの下玉押しを取り外して、フェイスカットします。
左)フェイスカット前、右)フェイスカット後。
フレームの下処理が出来たら、錠盤にセットします。 |
エンドは少しズレていたので修正します。 |
フレームのアライメント作業が出来たので、組み立ててきます。 |
他にもロードバイクを所有されていて、
メーターはGarmin Edge 700Jを使われていますが、
モールトンとも兼用したいという事でメーターを加工しました。
Garmin Edge 700Jは、ケイデンス・スピードセンサーが一体式なので、
小径車では配線が届かないので本来なら装着不可ですが、
メーターを分解し、スピードセンサーの配線を切って延長しました。
思っていたより細い配線でしたね。
配線にはメッシュの被覆カバーを取付ました。 |
アルミ削り出しの台座にセンサーを取り付けて、こんな感じで仕上がりました。 |
完成です。
京都にはちょくちょく自転車のツーリングで来られていたので、
納車当日も名古屋まで自走で帰られる予定でしたが、
この日はご家族と京都を観光して帰られました。
Moku2+4のサイトに拡大画像を載せました。
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