2011-12-07

Alex Moulton TSR-30 オーバーホール

TSR-30のオーバーホールです。こちらの顧客さんはモールトンを所有されてから約5年、モールトンが初めてのスポーツ車ということで、フラットバーのモデルを選ばれましたが、今では通勤やロングライドを含めて総距離数万キロ走られるまでに。5年の間、メンテナンスはこちらでしていましたが、完全なオーバーホールは初めてです。還暦を過ぎられた今でもどんどん走行距離を伸ばされていますが、念願だったAM-New Seriesが組み上がったと同時に入れ替えでこのTSRのオーバーホールに取り掛かったので、現在はAM-New Seriesで通勤されています。このTSRはセカンドバイクになりました。

ホイールハブを分解すると予想どおり結構汚れていますね。

ブレーキシューの汚れを磨きつつ、リムの消耗具合を点検しながら頑張って磨きます。左)磨く前。右)磨いた後。

左クランクを緩めようとしたら、ボルトがカッチカチに固着し過ぎて全く緩む気配がありませんでした。このままいくと間違いなくボルトの頭が潰れるだろうなと思いつつも、この状況で他にどうすることも出来ないので、とりあえず次の対策を頭に入れながらエイっと力を入れたらやっぱり潰れました。とほほ…。

想定内でしたが、こんな時はやっぱり気落ちします…がすぐに気を取り直して、とにかくボルトの頭が潰れてるこの状況を打破しなくては!と次の策としてボルトと工具をくっ付けて固定する。これだと六角のソケットが一発でダメになりますが、とにかくボルトを外さないと作業が進まないので、中途半端な対策はせずに一気にボルトと工具を溶接する策に転じました。これがうまい具合に運んでボルトがすんなりと外れました。ふぅ〜よかった…。ボルトが取れなかったらボトムブラケットも外せないし、クランク回りのオーバーホールをストップしなければいけなかったので、ホント良かったです。

左)さっきのボルト事件など無かったかのように普段の作業に戻ります。キャリア取り付けボルト穴が錆びていたの再タップします。錆の粉が出てきました。
右)フレームが分解できてきました。

左)フォークを分解すると、フリクションプレートが当たる面が錆びています。ここは大概錆びています。頻繁に開けるところでも無いですしね。いつものようにサンドブラストで錆を落とします。
右)パーツもひと通り分解して、洗浄できました。

せっかくここまでバラしたのでフレームの歪みを点検しておきます。このTSRを納車した時はまだこの錠盤が無かったんですよね。後はパーツを組み付け調整して完成です。これで今までより更に走りやすいモールトンに変身したと思います。