2012-04-24

Moulton TSR-30 Drop 組み立て。

モールトン TSR-30 Dropの新車組み立てです
箱から出して、一気にパーツを取り外します。
このモデルはドロップハンドル仕様ですが、ブレーキレバー取り付け位置が仮組みだったりと、全てが仮組みの状態で納品されるのでもう一度取り外して組み立て直さないといけません。
フロントフォークも組み立てられた状態で納品されますが、アライメント修正するために分解してパーツを洗浄します。
メインとサブ2本それぞれのフォーク修正が出来たら、細かなパーツのチェックをします。
左画像はボトムリンク(手で持っている金属)の淵がフレームに干渉しています。このように干渉したままではサスペンションの動きが鈍くなるので、右画像のように干渉しないところまで削ります。
アライメント修正やこのような細かいところに手を加えずに、動きを良くする高品質のスプリングを組み込んでも意味がないでしょうね。きちんと手を加えれば純正のスプリングでも良く動きます。一つ一つの作業の積み重ねですね。

このTSRは、キャリアの取付けボルトから、フレーム分割ロックリング、キングピンボルトなどなどグリスが全く塗られていませんでした。入荷時期によるこのバラツキは何なんでしょうか?? いつもの事ですね…。
画像左)リアフォークのピボットスピンドルが画像中の矢印のように少し出ています。新車納品時は大抵こんな感じでスピンドルが出ています。このままではすぐにガタが発生するので旋盤で加工します。
画像右)その他もろもろの作業をして、やっとフレームの組み立てが出来ました。

フレームの組み立て作業が済んだら、錠盤にフレームを載せてアライメント点検をします。このTSRはドロップハンドル仕様なのでコンポーネントもロード用が組まれてあるので、当然ホイールハブもロード用です。
ハブ幅(リアのエンド幅)はMTB用が135mmで、ロード用が130mmなので、ロードのコンポーネントが装着されているTSR-30 Dropは130mmでないといけないんですが、このTSRのリアエンド幅はMTB用の135mmでした(画像右のフレームと黒い工具の隙間分)。
でもこの5mmの誤差は、クイックシャフトを締め付ければフレームも縮まりホイールも固定できるので普通に走れてしまうんですね。ズレや誤差があってもホイールが固定されていれば前へ進むので感じにくい部分ではあるんですが、当然フレームとホイールの中心がズレているので転がり抵抗も大きいんです。それを分かっていながらそれなりに組むのは嫌なので修正します。
それよりも「ロード用のハブを使うんだったら最初から130mmで作ってよ。」と言いたくなりますが、これはモールトンに限ったことでもなく、ロードバイクでも既製品の場合はズレている事が多いと思います。フレームビルダーさんが作られる自転車は別ですが、こういったフレーム修正はメーカーどうのこうのという話ではなくて販売店に委ねられています。メーカーとしては製造効率を上げるためでもあるだろうし、価格も上がってしまうでしょうしね。ですから修正するのもしないも販売店の考え方次第なんですね。
簡単に買える品物でもないですし、一生懸命考えて購入される方がほとんどなので純粋に良い物を納めたいという気持ちでいつも作業しています。

一気に作業行程の写真を飛ばしましたが完成です。
丁寧、きれいを心がけて作業をしています。