今回は、staffのタカがレポートします。
モールトンと一緒に電車もたくさん乗り継いで、
四万十川沿いのキャンプ場でキャンプもしてと、
てんこ盛りの1泊2日の様子をご紹介します。
<Staffタカの簡単な自己紹介>
水産高校&海上技術短期大学校、4級海技士航海免許取得、5年間タンカー船に従事、
20代前半 農場などで働きながらクルマでオーストラリア一周(キャンプ生活)
20代後半 バックパッカーで南半球の国々へ(ゲストハウスや農場に滞在しながら、
なるべく陸路で移動)
画像:JR新大阪駅 (07:09 京都から新大阪に到着)
日本三大清流の四万十川、なんかとってもそそられる、
一度耳にすると忘れない四万十という名前。
電車の駅を調べて輪行&サイクリングルートを探していくうちに、どうせなら上流付近の駅で、近くに落ち着けそうなキャンプ場もあってと条件を絞っていくと四万十川中流あたり中土佐地域が浮上。ここに決めました。
7月末の某日
1日目のスケジュールはこんな感じです。
06:44 - 07:09 JR京都ーJR新大阪 (JR京都線 新快速 姫路行き)
07:35 - 08:24 JR新大阪ーJR岡山 (新幹線 ひかり531号)
08:52 - 11:30 JR岡山ーJR高知 (土讃線 特急 南風/アンパンマン号)
11:40 - 12:47 JR高知ー窪川 (土讃線 特急 あしずり3号 乗り換え)
13:21 - 13: 43 窪川ー 打井川 (予土線 宇和島行 普通電車 しまんトロッコ)
13:43 打井川駅到着 (京都から約6時間)
14:10 1日目のサイクリングスタート
16 :40 キャンプ場到着
次の乗車予定、土讃線 特急[南風]の乗り場に行くと、
そこにはホームでひときわ目立つアンパンマン号。
今からこれに乗り込みます。
沢山のお客さんが出発まで写真を撮ったり、絵を眺めたり、
車内も所々アンパンマンのキャラクターがいたり、
車内アナウンスも勿論アンパンマンです。
08:52
アンパンマンマーチを聴きながら高知に向けて出発。
一番後ろの席が空いていたので、自転車も荷物スペースに収まりました。
アンパンマンの作者 やなせたかしさん が高知県出身で、
この電車以外にもアンパンマン特別使用の電車が四国中を走っています。
瀬戸大橋を渡る車窓から、一番始めに通る櫃石島(ひついしじま)の漁港。
このあと岩黒島、与島と通過していきます。
瀬戸内海にはたくさんの小さな島があり、そこを縫うように航行する大小様々な船、
天気が良い時に見る瀬戸大橋からの車窓は瀬戸内海独特の海の景色が見られます。
小さな瀬戸内の島を巡る船輪行も楽しそうと妄想が膨らみます。
岡山から2時間半で高知駅に到着。時刻は11:30過ぎです。
土讃線特急[あしずり3号]に乗り換え。
12:47
窪川駅に到着。目的地までいよいよ最後の乗り換え。4つ目の電車です。
この黄色のカワイイ電車は、予土線 三兄弟と呼ばれるうちのひとつ
[予土線 宇和島行 普通電車 しまんトロッコ]です。
後ろの車両がトロッコ列車になっていて、土佐大正駅~江川崎駅区間のみトロッコ列車で移動できるようになっています。後ろから見るととても愛嬌のある顔ですね。
今回は乗車区間が違ったのでトロッコ列車には座れませんでしたが、同じ車両の先頭に乗っていよいよ四万十川へ。
下車してからも見えなくなるまで見送ってしまう
不思議な愛嬌を持った[しまんトロッコ]。
ここからいよいよ四万十自転車旅のスタートです。
14:10
準備完了。いつもなら10分程度で組み立てますが、キャンプ道具など荷物も多いので今回は20分ほど掛かりました。
輪行バッグには → モールトン、ヘルメット、空っぽのパニアバッグ、
バックパックには → テント、パニアバッグの中身、ドリンクボトル2本
いよいよ四万十川サイクリングのスタート。
下調べはほとんどせず、行き当たりばったりの旅です。
宿泊するキャンプ場と電車の駅を起点にしてサイクリングルートを組み立てました。
14:35
打井川駅から約3㎞、四万十川に流れ込む支流の打井川を登って行くと第一目的地
[海洋堂 かっぱ館]に到着。
旅を計画中に、たまたまグーグルマップで見つけたこの海洋堂かっぱ館。
水木しげるさんの妖怪が好きで、海洋堂の作る動物のファンなのでサイクリングルートに入れ込みました。なんとも不思議な森の中のかっぱ館。この不思議な館の河童たちはどれも全て違う顔。じっと動くのを我慢してるようにすら感じさせる、沢山の木彫りの河童たち。
運が良ければテラスで河童に会えるかも。
15:50
道の駅[四万十大正であいの里〕到着。
宿泊するキャンプ場まであと2㎞。この先何もないかもしれないのでここで食料を調達。
予定では晩ご飯にサンドイッチを作ろうと思っていましたが、
夕方ということもあって殆ど食材が売り切れていて、
当然パンも無かったので予定を変更。
自然薯そばと田舎寿司、調理ケトルで調理しやすそうなピーマンを購入。
ニンニクとオリーブオイルと塩は持ってきたので、ピーマンはニンニクと一緒に少量のオイルで煮ることにして、今晩のメニューが決定。地酒も買って準備万端。
ヤイロチョウ、この旅で初めて知った渡り鳥。
なんと子育てのために毎年5月頃、東南アジアからこの四万十町に飛来してくるそうです。クマタカなども生息するこの四万十の森は、川と同じくまだまだ自然が残る地域ですね。
写真 上 土佐大正駅
左 無手無冠の四万十焼酎銀行
右 大正フード なんでも揃うローカルスーパー
道の駅から目的地のキャンプ場を通りすぎ、気になっていた土佐大正駅まで少し足を伸ばしました。土佐大正駅周辺は木造のレトロな駅舎です。
ユニークな酒屋さんも見つけました。
四万十川焼酎銀行、この日はあいにくお休みでしたが、
(株)無手無冠という酒蔵が地元の銀行閉店にともなって銀行の施設をそのまま譲り受け、
お酒・焼酎の展示販売をされています。銀行ならぬ、れっきとした酒屋さんです。
預貯酒?!の口座開設から通帳発行、頑丈な金庫室で保管されるプレミアム焼酎などどれも一癖あってユニークです。
ここで何でも揃うスーパー「大正フード」に遭遇。
先ほど立ち寄った道の駅で無理くり買い揃えた晩ご飯でしたが、
ここでなら予定していたサンドイッチが作れたかもなぁと思いつつも、その場その場で決めて動く”行き当たりばったりの旅”ではこういった些細な出来事も印象に残ります。
ほかにも酒屋、商店、お好み焼き屋、居酒屋、駅前にはゲストハウスまで
土佐、四万十川中流域の活気あふれる素敵な町でした。
いよいよ今晩宿泊するキャンプ場が近づいてきました。
画像の川は四万十川ですが、画像の一番奥のあたりにキャンプ場があります。
土佐大正の街から離れて川沿いにある山あいの道を走って行きます。
キャンプ場まであともう少し。
16:40
本日の宿泊地 [リバーパーク轟] 到着。
時間帯によって係の方が留守の場合は、所定の用紙に必要事項を記入して料金と一緒にポストに入れます。到着時は施設の方がおられなかったので料金と用紙をポストに入れました。
この日は他のお客さんも見かけなかったのでテントを張る場所も選び放題。
沢山の木に囲まれてのんびりできそうです。
前回のキャンプツーリングは10月でしたが、今回は夏のキャンプということで荷物が少なくなりました。
変更点
・夜間、早朝の寒さをしのぐアウター類が要らない。
・スリーピングバッグ無し。(夜間22℃ )
・マットも薄いものに変える。寝心地に関しては、テントを張る前に
しっかり石拾いすれば、岩場でのキャンプでない限り問題ないと思います。
・タオル類は手ぬぐいに。
・まな板を蒲鉾板2枚に変える。
まな板は皿代わりにもなるので便利ですが蒲鉾板2枚でも代用できる。
・コーヒーは直火式エスプレッソのモカエキスプレスからドリップ式に変更。
ペーパーフィルター用持参ですが、ネルドリップが一番コンパクトでオススメかと...。
目の前に四万十川が流れている[リバーパーク轟]キャンプ場。
まだ明るかったので浅瀬に浸かって涼みました。
自転車後の水浴びは体中が涼しくなり爽快です。
川で涼んでいる間に道の駅[四万十大正であいの里〕で買った地酒を冷やしておく。
何気に購入した地酒でしたが、偶然にも休業日で立ち寄れなかった四万十川焼酎銀行の地酒「無手無冠」特別純米酒でした。
17:40
日が暮れるまで、まったり木ガスケトル(英国製Stome Kettle/Mokuでも販売中)で
遊びます。枝を拾って、燃やして、田舎寿司をつまみ、お酒を飲んで、火を見ながら作る時間を楽しむ。茹でて、焼く、シンプルな料理に焦らず長い時間をかけて作る。
日が暮れると川の音、虫の声、普段よりも自然の音を敏感に聴きながら就寝。
このシンプルな旅ができるのがキャンプのいいところですね。
背伸びせず自分のスタイル、ペースで。
ちなみに、なんやかんやでピーマンのオイル煮が一番美味しくできました。
蕎麦は、茹で汁の火を安定させられずに苦戦。
ケトルで湯を沸かすのは簡単なんですが、調理する場合は、燃料を継ぎ足すごとに調理器具を退けないといけないので、燃料を継ぎ足しながら安定して高く長い炎を焚き続けるにはもう少しテクニックと経験がいるのかもしれません。
麺類なら”そうめん”が良いかもです。
早朝04:30
夜明け前に起床。
丁度満月で天気も良く気持ちのいい朝。お月さんの光でコーヒーの準備。
朝は片付けでバタバタするので、このミニカセットコンロが便利。
夕食の残りを朝ごはんにして出発の準備をします。
06:00
2日目のサイクリングがスタート。
四万十ヤイロチョウを探しながら出発。
キャンプ場近くでそれっぽい声を聞いたので期待しながら走っていましたがお目にかかれず。
朝日が昇り始め、まだうっすら朝靄が残る四万十川。
まだ暑くもなく丁度心地よい空気のなか、
モールトンと一緒に爽快に軽快にペダルを回します。
08:00
JR窪川駅の近く。窪川駅といえば昨日黄色い[しまんトロッコ]に乗った駅ですね。
ここで四万十川とはお別れ。
このまま北上すると四万十川上流域に行きます。
この先の上流域もとても気になるところですが、ここからカツオを求めて東方へ。
海を目指して走ります。
08:15
キャンプ場から25㎞地点 ローカルドライブイン発見。
おにぎりセットに、ハンバーガーと色々あります。
自転車でドライブスルーは少し気が引けたので店内で買いました。
迷った末に和風甘酢チキンバーガーとゆずサイダーを購入。
店内は朝から地元のお客さんで賑やか。
モールトンに鍵を掛けていたら自転車が好きそうな男性に
「よく走りそうなミニベロですねー」と話しかけられたのでカツオ情報を聞いてみると、
この先にある中土佐の「土佐久礼」と言う場所に市場があって新鮮な魚が食べられると教えてもらいました。土佐久礼に寄り道決定。
電車からもたくさん見たこの作物。さすが土佐はすごい量の生姜畑。
日本一の生産量を誇ります。全国の4割をここ高知で作っているそうです。
収穫は10月下旬~11月、この時期の戻りカツオのたたきと千切り生姜を想像しながら畑の横を走ります。
親切な自転車用の表示。もうすぐ土佐久礼
四万十川と別れるあたりから緩やかに続いていた登り坂の終着地点。
ここから一気に下って行きます。
一番奥に見えるのが中土佐の海。
10:15
キャンプ場から43㎞地点 土佐久礼到着 。
早く着きすぎてどの店も開店前の準備中だったので雰囲気だけ楽しみました。
漁港であがった魚をここの市場で買えるそうです。
カツオも部位ごとに販売されていて食べ比べもできるそうです。
練り物屋やら、うどん屋さん。美味しそうなものがたくさんの町でした。
ここから旅の最終地点JR須崎駅に向かいます。
11:15
キャンプ場から55㎞地点 潮風と魚の匂いかおる須崎漁港到着。
情報収拾の為この漁港の反対側にあるちりめん屋さんに。
須崎は沢山ちりめんじゃこも取れるんです。
外で作業されていた女性にオススメのカツオが食べられる食堂を尋ねると、どうもそのお店は隣町にあるらしく、高知のカツオについてもいろいろ教えていただきました。
脂が乗る前のあっさりしたカツオを食べたいなら4~6月の初鰹、
脂がしっかり乗ったカツオを食べたいなら10月頃の戻りカツオだそうです。
夏の時期は、メジカ(ソウダガツオ)の子が運が良ければ食べられるそうです。
教えていただいたオススメの食堂を目指して出発。
12:10
須崎漁港から約40分 オススメのお店「杉乃家」到着。
カツオの山かけとわかめうどんのセット。
漬けにしてあったので生臭さは取れてるのですが、
やっぱり新鮮な硬さ(熟成前)があって、さっぱりしてて美味しかったです。
高知で旅の最後に食べるカツオというのもあって美味しく感じさせました。
12:45
キャンプ場から59km 多ノ郷駅到着。
スケジュールでは須崎駅から帰る予定でしたが、
オススメのカツオが食べられる食堂が須崎駅から2駅先にある多ノ郷駅の街にあったので、多ノ郷駅から帰ることにしました。
このように予定していた乗車駅とは違う駅から乗ることになりましたが、
多少予定を変更しても駅さえあれば何とかなるかなと思ったりするので、
この自由さが輪行の素晴らしいところだと思います。
13:50
多ノ郷駅出発
14:55
高知駅到着。乗車した駅が無人駅で京都までの特急券と乗車券が買えていなかったので、
乗り継ぎ時間が少しあったので切符を買いに緑の窓口へ。
階段を降りて振り向くと、そこには階段一面にアンパンマンとバイキンマン。
アンパンマンに始まりアンパンマンで終わる四国の旅。この絵はなんかホッとします。
「自転車、ときどき列車の旅。」まさに輪行にピッタリな四国でした。
17:41
岡山到着。ここで土讃線特急[南風]とお別れ。
18:59
新幹線[のぞみ]で京都に到着。
1泊2日のトータル走行距離:76㎞
旅のまとめ
四万十の道は道路の幅も広く道も全体的にきれいで、なおかつ車の交通量も少なく走りやすく感じました。山あいに流れる四万十川は、なぜか景色全体でみると大きく感じる不思議な迫力のある川でした。そしてたくさんの生姜畑には圧巻です。
今回で2回目の自転車キャンプは、素直に楽しいです。
クルマより不自由な部分も沢山あると思います。
でもそれを上回る自由気ままさ、これにまさる物はないと思います。
いつでも気軽に止まれる。いろんな音も聞ける。
歩きもいいと思いますが、自転車なら最低限必需品以外の遊び道具も積んで行けます。
モールトンならキャンプ道具を沢山積んでも、荷物の重量は感じながらも取り回しが良いので、小回りも効いて街に入っても気軽にちょこちょこ探索しやすいです。
一人だと盗難とか不安な時もあります。でも危なそうなところ怪しいところは避け、
キャンプ場では今回使っていたような自転車が入るテントに入れるなどすると、
だいぶと不安も和らぎ気軽になってくると思います。
あとモールトンについては、モスキートハンドルからドロップハンドルに変えたことで、
フロントパニアに積むハンドル周りの荷物のスペースは少なくなりましたが、
長距離のポジションは楽になりました。
前傾になった分、ハンドルに重心が乗せやすく、タイヤのグリップ力が増したので下り坂でも安定感が良くなりました。
また、パニアバッグもキャラダイスに変えましたが、外にポケットが付いていて自転車の鍵など取り出すのに便利でした。
それと人が多そうな電車は、一番前か後ろの車両が自転車を乗せ易いと思いました。
また、今回のような電車の乗り継ぎが多い場合は、なるべく時間に余裕を持って動くと、
焦らずに乗り継げて、合間で電車を見たり車内を見たりと楽しい時間も過ごせます。
四万十の自然、文化、人に触れ四国の魅力を改めて感じられた楽しい旅でした。