2023-04-24

Moku2+4 オリジナル AM-22 (Olive Green) 完成車

Moku2+4 オリジナル AM-22 Olive Greenが完成しました。

ヴィンテージ風に街乗りから旅ライドまでをこなすモールトンに仕上げました。
パーツ類は現行パーツを基本に組み上げています。
価格はお問い合わせください。(ペダルの料金は含まれておりません。)

コンポーネントは全てシルバーでまとめました。
クランクセットはSugino、前後ディレイラーはmicroshift 10speed。

前後ハブはShimano105 R7000。

このAM-22のリアエンドは135mmとMTB規格で、組み込むShimano 105 R7000は130mmのロード規格です。
そのままでは取り付けできないので、一度リアハブを分解して、リアハブのエンド幅を130mmから135mmへカスタマイズします。
シャフトはShimano MTB用の補修パーツを流用しますが、この補修パーツをそのまま使えるわけではないので加工します。

左)ハブシャフトを旋盤で加工。右)スペーサー製作。

130mmから135mmへのカスタマイズは、昔のShimanoハブの構造であれば補修用シャフトとスペーサーで変換できましたが、ある時期を境にハブの構造が改良されたため、変換するには加工が必要です。
Shimanoから現行で展開されているミドルグレードのハブでシルバー系統のカラーを選択する場合はこの方法を取ります。

135mmにするためのパーツが完成。

体格に合わせて乗りやすくするために可変式のモールトン純正ウイッシュボーンステムを付けています。今はかなりアップライトなポジションで楽しめるように設定していますが、ステム角度を倒せば前傾ポジションも取れます。
手に伝わる振動を軽減してくれる極太スポンジグリップを合わせたので、さらにソフトな乗り心地が味わえます。


左)モールトンのフレームの標準が数年前からアヘッドステム仕様に変更されていますが、このヴィンテージ風のAM-22 Olive Greenにはスレッド仕様のウィッシュボーンステムを取り付けました。それにはフォークの加工が必要です。

右)シフトレバーはウイッシュボーン下に配置しました。
スポンジグリップを取り付ける場合は、Shimano STIのようなデュアルレバーは取り付けできないため、シフトレバーはウイッシュボーン下に配置しています。ダウンチューブ台座の位置に比べてハンドルからシフトレバーの距離が近いので操作も楽で簡単です。

フロントフォークをウイッシュボーンステム用のスレッドステム仕様にするために、短く加工します。
フォークコラムを切ったので、新たにネジを切ります。

ブレーキレバーは、メインとサブの二つのレバーが連動している一体型セイフティレバーを取り付けました。
フラットポジションの時はサブレバーを引いて、ブラケットに手を添えれば前傾ポジションに、ブラケットまで手を伸ばさなくてもその手前からでもサブレバーならブレーキ操作が可能です。
街乗りから旅までゆったりとモールトンを楽しみたい方にオススメしたいブレーキレバーです。

マッドガードは、Moku2+4 オリジナルマッドガードです。
カラーは、モールトンAM-2やAM-7をイメージしてヴィンテージ風のブラックを選びました。

キャリパーブレーキは、ポリッシュ仕上げのDia-Comp。

サドルは、Selle Italia MILANO TURBO BONNIE。
スポンジグリップの"ぽってり感"の雰囲気に合わせて、ここにも少しヴィンテージ 感を出しました。このぽってりしたルックスもモールトンAM-2やAM-7の雰囲気をイメージしています。

組み立てる前の下処理"フレームアライメント"。
基本的にモールトンは製造時にアライメントがズレてしまうのものなので、必要に応じて修正します。

当然ながら左右リアエンドの位置もズレているので、どのくらいズレているかを点検します。

ズレている部分をマーキングして、0.5mmほど削ります。

荒削り後は、ヤスリの番数を段階的に上げながら研磨していきます。

研磨後。

左)修正前、右)修正後。

フロントフォークのアライメント点検。
モールトンの要となるサスペンション機構に関わるフォークアライメント点検ですが、これもフレームと同様に製造時にズレてしまうものなので、左右に開いたフォークのズレ(左右バラバラに開いている場合もあれば、前後バラバラにズレている、またその両方)など、左右前後バラバラに開いていることがほとんどなので、そのズレがどのくらいあるかを点検する必要があります。

フォークに関しては、全部組まれたAssyの状態("だるま型のリンク”できっちりと固定されている状態)で本国から納品されるので、外から見ただけでは開き具合やズレ具合を判断することはできません。分解しない限り判断できないのですが、中には"だるま型のリンク”を外すだけでズレているのが分かるのものあります。外しにくく反発する感じが手に伝わってきた場合は、ズレているものを無理やり"だるま型リンク”で固定している状態です。

フォークだけに限らずフレームに関しても、ズレてしまっているのは製造する過程で仕方のないことなので、これについてはアライメント定盤で確認して調整していくものなのですが、先にも書きましたが、"だるま型のリンク”を外した時点でズレているのが判断できる(大きなズレが確認できる)こともしばしばです。例えその場合であっても定盤に載せないとズレの度合いや調整もできないので、モールトンだけでなく、乗り物のアライメント点検はやるに越したことはない作業のひとつです。

モールトンには2本のフォークがあるので、サブフォーク(スタラップ )のアライメント点検も行います。

フロントフォークAssyのアライメント調整の後にフレームと合体させて、ようやくフレーム全体のアライメント調整に入ります。一つ一つを少しずつ少しずつ何度も何度も繰り返して修正してくのがアライメント作業です。なので、繊細に丁寧に専用工具を使いながら組み立てたモールトンは、普通に組み立てたモールトンとは走りが異なります。

どこか懐かしい雰囲気を纏った上質なモールトンです。
このままシンプルなスタイルで走るのも楽しそうですし、AM純正でラインナップされている全てのキャリア類も追加で搭載することができるので、いろんなパターンで楽しむことができます。