TSR 再組み立ての続きです。( #1、#2 )
フレーム廻りの作業を終えて、今度はサスペンションフォークを分解していきます。
まずボトムリンクを取り外してみたところ、グリスの量が多すぎてビックリしました。
両画像ともグリスがあまりにもベタベタなので撮影する前に思わず拭ってしまいました。
TSRのボトムリンクは鉄製なので(AMはステンレス製)、
仮に錆防止のためにグリスを塗っていたとしても、これは量が多すぎました。
モールトン博士はこう説明しています。
「ボトムリンク部分には、グリスを塗らなくても良いぐらいだが、塗るならほんの少量で良い。グリスを付けすぎるとフリクションプレートの意味が無くなる。」
その通りなんですが、こういったモールトン自転車特有の考え方を
きちんと理解して組み立てなければ意味がありませんね。
自転車を預かった時に必ず行うのは、自転車の動きを確認することです。
実際は開けてみないと分からないことも多いですが、
何となく作業の目星がつくのでこれは無意識にやっています。
作業をする上で、Before/Afterを確認することは大切だと思っています。
毎回同じことの繰り返しでシンプルな作業ですが、
小さな変化に気が付けたり、次に生かせたりと感じられることも多いです。
本題に戻りますが、このTSRを預かったときサスペンションの動きが悪いと感じました。
モールトンを始めて乗った時は、サスペンションが動くだけで、
「これがモールトンの乗り味かぁ、気持ち良い!」なんて
印象を受ける方が多いと思いますが、新車だと全てが新品という先入観で、
動きが悪いなんてあまり疑わないでしょうね。
しかし、ほとんど手を入れていない新車は、全体的に動きが悪い場合が多いです。
これはTSRシリーズだけの事ではなく、AMシリーズでも同じです。
動きが悪い原因はいろいとありますが、上の左画像のように、
ボトムリンクの端がフォークに接触していることも原因の一つです。
これはTSRもAMであっても、大小の差はありますが接触している事が多いです。
モールトンの要となるサスペンションの一部品なので、
製作者サイドで対処してもらいたいのは山々ですが、
手作業で製作している以上、個体差が出てしまうのは止むを得ないことなので、
ここはその車体に合わせてショップが個々に対応する作業だと思っています。
でも極わずかな個体差があるのは受け入れていますが、
大きな個体差には目を潰れません。
こういう場合はしっかりとモールトン社に改善の意見を伝えています。
左画像)接触している状態(新車時)、右画像)削って接触していない状態。
左)下玉押しを取り外した状態で、やはり下処理はされていませんでした。
右)処理後。
次にブレーキキャリパーを取り外そうとナットを緩めていくと、
何かネジ山が舐めているような感触があって、変だなと思いながら細部を確認すると、
ナットが入るフレーム側に僅かな突起がありました。
これが干渉していて固かったようです。こういうところも突起を削って直します。
フレーム廻りの作業を終えて、今度はサスペンションフォークを分解していきます。
まずボトムリンクを取り外してみたところ、グリスの量が多すぎてビックリしました。
両画像ともグリスがあまりにもベタベタなので撮影する前に思わず拭ってしまいました。
TSRのボトムリンクは鉄製なので(AMはステンレス製)、
仮に錆防止のためにグリスを塗っていたとしても、これは量が多すぎました。
モールトン博士はこう説明しています。
「ボトムリンク部分には、グリスを塗らなくても良いぐらいだが、塗るならほんの少量で良い。グリスを付けすぎるとフリクションプレートの意味が無くなる。」
その通りなんですが、こういったモールトン自転車特有の考え方を
きちんと理解して組み立てなければ意味がありませんね。
ハイトアジャスターを取り外すと、ネジ部分に錆びが出ていました。 錆を防ぐ意味でもこの部分にグリスを塗った方が良いので 再度組み立て時にグリスを塗ります。 |
実際は開けてみないと分からないことも多いですが、
何となく作業の目星がつくのでこれは無意識にやっています。
作業をする上で、Before/Afterを確認することは大切だと思っています。
毎回同じことの繰り返しでシンプルな作業ですが、
小さな変化に気が付けたり、次に生かせたりと感じられることも多いです。
本題に戻りますが、このTSRを預かったときサスペンションの動きが悪いと感じました。
モールトンを始めて乗った時は、サスペンションが動くだけで、
「これがモールトンの乗り味かぁ、気持ち良い!」なんて
印象を受ける方が多いと思いますが、新車だと全てが新品という先入観で、
動きが悪いなんてあまり疑わないでしょうね。
しかし、ほとんど手を入れていない新車は、全体的に動きが悪い場合が多いです。
これはTSRシリーズだけの事ではなく、AMシリーズでも同じです。
動きが悪い原因はいろいとありますが、上の左画像のように、
ボトムリンクの端がフォークに接触していることも原因の一つです。
これはTSRもAMであっても、大小の差はありますが接触している事が多いです。
モールトンの要となるサスペンションの一部品なので、
製作者サイドで対処してもらいたいのは山々ですが、
手作業で製作している以上、個体差が出てしまうのは止むを得ないことなので、
ここはその車体に合わせてショップが個々に対応する作業だと思っています。
でも極わずかな個体差があるのは受け入れていますが、
大きな個体差には目を潰れません。
こういう場合はしっかりとモールトン社に改善の意見を伝えています。
左画像)接触している状態(新車時)、右画像)削って接触していない状態。
純正ヘッドベアリングからCHRIS KINGのものに交換されていましたが、 下処理がされてなさそうなので、下玉押しを取り外していきます。 |
右)処理後。
もろもろ下処理が終わると、次はフォークのアライメント点検です。 少しフォーク幅が広い状態でした。 フォーク幅も広かったり、狭かったりすると サスペンションの動きが悪くなる原因になります。 |
メインフォークとサブフォークのアライメント修正をします。
サスペンションピストンの動きも硬かったので手直しします。 ここもサスペンション全体の動きに関わってきます。 |
何かネジ山が舐めているような感触があって、変だなと思いながら細部を確認すると、
ナットが入るフレーム側に僅かな突起がありました。
これが干渉していて固かったようです。こういうところも突起を削って直します。
フレームとフロントフォークを整えた後、やっとパーツを取り付けていきます。
まずは、ステムキャップが左画像のようにアヘッドステムの中に入り込んでいたので
交換します。
ヘッドベアリングに付属している『1インチ』のステムキャップのままでは、
このステムには最適な取り付け方法ではありません。
交換します。
ヘッドベアリングに付属している『1インチ』のステムキャップのままでは、
このステムには最適な取り付け方法ではありません。
モールトンのヘッドベアリング径は『1インチ』ですが、
今回取り付けるアヘッドステム径が『1-1/8インチ』なので
この場合、『1インチ』のヘッドベアリングに
別売りの『1-1/8インチ』ステムキャップを組み合わせます。
この場合、『1インチ』のヘッドベアリングに
別売りの『1-1/8インチ』ステムキャップを組み合わせます。
アヘッド仕様のヘッドベアリングはステムキャップ中心のボルトで調整するので、
このままではヘッドベアリングの固さ(回転具合)を正しく調整することができませんでした。
右画像が正常な取り付け方法です。
これは基本中の基本で構造を考えれば分かるんですけどね…。
左)『1インチ』のステムキャップ。 右) 『1-1/8インチ』のステムキャップ。 見ての通り大きさが全然違います。 |
次にステムの突き出しの長さについてですが、 手で持っているステムが最初に付いていたステムですが、 このオーナーの体格には長過ぎました。 ほとんど乗らない、または観賞用が主な楽しみ方という場合は、 極端な話、ステムの長さやその他パーツも眺めて楽しめるパーツを選んだりして、 それほど気にしなくて良いかもしれませんが、 仮にそうだったとしても、作業する側にとっては、この選択はどうかな?と思います。 という事で今回はこの辺で…次回でこのTSRは終了です。 |