2012-12-21

TSR 再組立て依頼 #1

こちらのTSRは、車両の組み立て直し、ホイールのアップグレード、ポジションの確認と大きく分けて3点の作業依頼を受けてお預かりました。

まずはメインの作業依頼として、車両全体の組み立て直しです。
当店ではTSRやAMシリーズを組み立てる際はフレームアライメント確認を必ず行いますが、その際に次のことも確認して欲しいと依頼されました。
『以前、フロント廻りをぶつけた時にフロントフォークを交換したんですが、きちんと修理できているか心配で、またその衝撃でフレームが歪んでいないかも見てもらいたいんです』と言われました。
これについては、初見でヘッドベアリング廻りに問題があると分かったので、他の部分も含めてフレームの現状を確認しながら作業を進めていくことになりました。

2点目は、ホイールのアップグレードです。
すでに純正から完組ホイールに交換されていますが、
カンパニョーロに憧れていて、いずれコンポーネントを交換したいな。』
と言われたので、
完組ホイールは、見た目はカッコ良いものが多いかもしれませんが、小径車用に販売されているホイールはハブの性能がもう一つなんで、いずれカンパニョーロに交換したいと思われているのであれば、ホイールだけなら現在使われているシマノとカンパニョーロを組み合わせることが出来ますよ」
と紹介させてもらったところ、
『まずはホイールだけでもカンパニョーロに。』
と言われたので追加で作業させてもらうことになりました。

3点目はポジションについてです。
『どうもこのポジションだと前傾がキツいような気がするんですが…』
と言われたので、ハンドル廻りのポジション確認も作業に組み込みました。
確かに、パッと見ただけでもこのバランスはキツいと思います。
まずは、アライメント作業をするために、フレームだけの状態にしていきます。
クランクセットなどを分解し洗浄していきます。
チェーンリングは少し大きめのギアに交換されていて、
チェーンリングボルトにグリスなどは付いていませんでした。
細かいところですが、こういうところにもグリスを付けておいた方が良いですね。
後々、固まって取り外せなくなることがあるので…。
固まると↑これ結構外すの大変なんですよ。

リアディレイラープーリーなども汚れているので分解していきます。
きちんとダストシールを外してグリスの状態を確認します。

分解したパーツは洗浄。
ボトムブラケットカップを取り外すと、カップに細かい錆びの鉄粉が…。
フレームハンガーを確認すると、やはり錆の粉です。

この錆はチェーンステイ内で出来た錆なので、
フレームを振ると細かい錆の粉が出てきました。
ロードバイクにもクラシカルな雰囲気を出すために
メッキ加工が施されていることが多いですが、
チェーンスティ内側などは、錆が出ている場合が多い箇所なので、
きちんと防錆をしといた方が良いですね。
このTSRも防錆を注油しました。

フロント廻りをぶつけて、フォークを交換されて修理されたという事でしたが、
きちんと修理されていませんでした。
ヘッドベアリングが収まるヘッドチューブは衝突の影響で歪んでいる上に、
修理で交換されたヘッドベアリングは手でも簡単に取り外すことができました。
ヘッドベアリングは圧入して取り付けるものなので、手で取り外せる時点でアウトです。
そのままにしておくと、ヘッドチューブの内径が徐々に広がっていったかもしれません。

様々な修理方法がありますが、ロウ付けをして修理すると塗装が焦げてしまうので、どうしてもフレームの一部とはいえ再塗装しなければなりません。
このTSRは、まだ走行距離も少なくボディも綺麗な状態なので、
今回はロウ付けではない方法で修理しました。
今後塗装をする場合があれば、またその時にロウ付けも追加すれば良いでしょう。

ようやくフレームだけの状態になったので、
次はフレームアライメントの準備をしていきます