2020-03-04

Moulton AM-18 (Maroon) レストア。

2005年に納車したAM-18のレストア事例です。
それなりにクタクタになっていたので、再塗装も含めたレストアですが、
新しい物と古い物が融合していて
少し未来的なモールトンに仕上がっています。
未来的なデザインのShimano、 アーバンスポーツ系クランクセット。 
新しい物と古い物の融合です。
左)スプロケットは9-32Tの11速ワイドギアなんですが、9TスタートのワイドギアはShimanoにもSRAMにもない革新的なギアです。
Shimao Capreoは9-26Tでしたからね。
フロントチェーンホイールを小径化すると回転効率も上がりますし、見た目もシンプル。同時にギアレシオ(歯車比)もシンプルになりますし、フロントチェーンホイールがダブル(2枚)の場合、変速時にチェーンが外れてしまう事がありますが、変速時のチェーン脱落もなくなるのでメリットも大きいです。
このような組み合わせの歯数が登場したことでフロントのチェーンホイールに関しての新しい提案ができて嬉しいですね。でもまだまだ新しい製品なので金額が気になるところです。Shimanoなどからも発売されて、もっと一般的になればもう少し金額が下がってくると思うのですが...。

右)ハブは20年ほど前のカンパニョーロ。カンパニョーロの拡張性は大変助かります。
20年前のハブに現行のスプロケットが組めるってスゴイです。
当然すんなり組める訳ではないので、スモールパーツを組み合わせて換装するのですが、お気に入りのハブがそのまま使えるのは嬉しいですね。

走行時の転がり抵抗感が少ないハブダイナモライト。
レストア前はドロップハンドルでしたが、
レストア後はフラットハンドルに変更されました。

画像はレストア前のフレームです。
全てのパーツを取り外し、各フレームを細かく分解していきます。
パーツを取り外していくと、フォークコラム内部に錆が少し出始めていました。
フロントフォークやその他分解したパーツは、洗油で綺麗に洗浄していきます。
リアフォークピボットに圧入されているモールトン・オリジナルのフレクシタースプリング(ゴムの捻れを利用したスプリング)も取り外します。

フレクシターをなぜ取り外すかというと、フレーム内部の錆びの状況を細かく確認するためです。
フレクシタースプリングは簡単には取り外す事も出来ず、取り付けも出来ないので、Mokuでオリジナルに製作した取り外し専用工具と圧入専用工具を使います。

簡単にできる作業ではありませんが、周りを綺麗にしてもこういったところを確認せず放置しておくと見えないところで錆びが進行しフレームのダメージに気がつくことが出来ません。何十年と愉しむことができるモールトンは特に酷くなる前に対処しておかなければいけません。


自動車で再塗装する際も手間を省いて見た目だけ綺麗にしようと思えば可能です。
例えば窓ガラスとウェザーストリップを取り外さず、塗膜がかかって欲しくないガラスにマスキンテープで保護するといったやり方です。
この場合、窓ガラスをを支えている鉄の錆までは確認する事が出来ません。
それと一緒ですね。
こういった見えない部分をどのように作業しているかは、長く大事に使っていきたいと思われている場合はとても重要です。


ウェザーストリップ:
ドアや窓ガラスといった自動車の開口部から、雨等が侵入するのを防ぐゴムシール

フレームを全て分解しました。
パッと見は綺麗でしたが、リアフォーク下側に塗装の下から錆が浮き出ていました。

サンドブラストで錆を取り除き、塗装へ出します。
純正と同じMaroonに再塗装されます。

塗装も綺麗に仕上がりました。
取り外したフレクシタースプリングを専用工具で再度圧入しました。
左)塗装が上がってきた状態。塗膜を軽く研磨します。
右)フレクシタースプリング圧入後。

撮影した画像がここで終わってしまったので、それ以降の作業画像がありません。
ハブダイナモ組んで、フラットハンドルにして、新設したコンポーネントを組み付けて完成です。新しくてかっちょいいモールトンに仕上がりました。