2012-12-15

Dr. Alex Moulton

12月9日の夜、モールトン博士が安らかに永眠されました。


その後いろいろと考えていました。

アレックス・モールトン自転車に出会ったことで、いろんな経験をさせてもらいました。振り返っていくと小さなことでも思い起こさてくれます。
(一度に書ききれそうもないので、今後そういったことも少しずつこのブログに書き綴っていけたらと思います)


思い起こすと、スポーツ自転車を初めて買ったのは、
ロードバイクでもマウンテンバイクでもなく、モールトン自転車でした。


モールトン自転車に出会うまでは、四六時中クルマのこと
中でもMiniは特別でしたが、いつもそのことばかり考えていました。

Miniの仕事を通じてレースの世界に入っていって
そこからモータスポーツが盛んなイギリスでのMiniを取り巻く環境が知りたくなって
さらにMiniからもっと本格的なレースの世界へステップアップしてみたい
小さなことでもチャンスがあるかもしれないと強く思うようになってきた時
仕事も辞めて、クルマも全部手放して、何のつても無いのに
イギリスに骨を埋めようという気持ちで渡英しました。
(今思うと若かったから出来たことですね…)

やはり現実は厳しく、限られた期間ではどうにもならなかったので帰国。
日本に帰ってくることは考えていなかったんですが
向こうで自分の出来ることは諦めずにチャレンジしていたので
ある程度、気持ちに区切りがついたというか
レースやクルマそのものについて、省エネなどの環境の意識が高まっていく中で
自分がしたいと思っていることは
果たして何十年先まで仕事として続けていられるだろうか
と漠然と考えていました。
そんなときモールトン自転車に出会いました。


モールトン自転車をはじめて見た時、
Miniのサスペンションスプリングと同じラバーコーンが付いていて驚いたこと
Miniと同じでシンプルなのに面白そうな構造をしていたこと
妙に嬉しかったこと、安心したことを覚えています。


仕事の相手がエンジン付きの乗り物からエンジン無しの乗り物に変わって
これからは自転車でやっていこうと頭では分かっていても
始めた当初は、正直Miniにまだ未練タラタラで
自転車に気持ちを傾けることができない時期もありました。
今までがMini一辺倒だったので
始めた当初はぐらぐらと揺れていたんですね…気持ちが。

そんな中、Miniと似ているモールトン自転車の構造や考え方に
どんどん興味がわいてきて自分に違う感情を起こさせてくれました。


モールトン自転車に出会わなければ自転車ショップはしていないと思います。


モールトン自転車を通して出会った人、感じたこと、
まだまだたくさんあります。これからもあるでしょう。
こんな風に心が動かされる自転車は、
後にも先にもアレックス・モールトン自転車だけなんじゃないかと思います。


アレックス・モールトン博士、安らかにお眠りください。