2012-08-03

AM-20 Mk2 (Royal Blue) 組み立て Part.2

AM-20 MK2の組み立ての続きです。(Part.1)
フロント廻りは出来たので次はリア廻り。
いつものようにリアフォークピボット幅(左)とスピンドル幅(右)をそれぞれ計り、スピンドル長が大抵長いので1/100mm単位で旋盤で加工します。
スピンドルが長いとフレームのガタが発生しやすいですね。

リアラバーコーン取付けボルトも大抵は少し長く、きっちりと締まっているようで締まっていないので、ボルト長を少し短くします。

リアフォークの組み立てが出来たら、フレームアライメントの点検と修正作業に入ります。いつものような感じで歪んでいます。ぴったりとアライメントが出ているように作るのはモールトンでは難しでしょうね。

ハブ軸(ハブシャフト軸)もフレーム外側より突き出ています。これもいつものことですが、このままではクイックシャフトの固定力が弱く、最悪ホイールが外れる場合もあって危ないので、ハブを分解してハブ軸長を加工します。モールトンフレームのエンドの厚みをもう少し厚くしてくれたら、このような加工は必要ないのですが…。

ハブを分解。この作業はフロントホイールも行います。

ハブ軸の長さをフレーム外側と面一に加工できたら、今度はクイックシャフトのナットの内側を0.2〜0.3mm深く加工します。
先ほどの作業で突き出たハブ軸を短く加工しましたが、その時にハブ軸長をフレームエンド外側面よりさらに内側に加工すれば、このナットは加工せずに済みます。理屈ではそれで問題ないんですが、何でも削るところを一カ所だけにまとめてしまうより、分散できるのであればその方がそれぞれの削りしろが少なくなるので、そのようにしています。

当然クイックシャフトも長いので、突き出ている部分を切ります。

ウィッシュボーンステムの角度調整ボルトは、ボルトが長い場合が多くそのままでは右画像のように隙間が空いてしまうので少し削ります。

カンパニョーロ CHORUSのショートリーチブレーキを取付けるので、ブレーキアダプターを使いますが、普通には取付けできないので、一からスペーサーを製作します。

どんどんコンポーネントを組み付けて調整していきます。
終盤の作業のワイヤーケーブルの取り回しも、今後ポジションが微調整できるように少し余裕を持って綺麗に見えるように取付けます。
ワイヤーケーブルの長さは、ポジションを変えたい時や変わってきた時、どちらにも対応できるように、ある程度長めに設定しておけば問題ないと思うのですが、余裕を持ち過ぎて長く弛み過ぎているワイヤーは見た目にも格好良くないと思うので、予めオーナーの身長と股下を計測して基本のポジションに合わせて、微調整できる長さを残して設定しています。体格や身長を見て感覚でやってしまうと短くなってしまうこともあるので、きちんと測定します。

今回納車したオーナーは、スポーツバイクをはじめて購入されたのでドロップハンドルの自転車もはじめてということだったので、近所の西京極運動公園内でブレーキのかけ方や、シフトチェンジの仕方、フレームの分解方法などを説明しました。大抵この試乗で皆さんコツを掴まれます。ロードバイクとモールトンどちらにしようか悩まれたそうですが、『長く大切に乗っていきたい』ということでモールトンを選ばれました。

メーカーも車種も多くて、毎年次から次へと新しいモデルが出てくるロードバイクなんかは、メーカーやモデルの特徴を見て探して悩んでいる間に次の新しいモデルが出てきたりして「これ!」というモデルにも出会いにくいというか、強い思い入れや他の何かがないとどれを選んだら良いか難しいと思うんですが、モールトンはその点、大きなモデルチェンジもありませんし、ずっと向き合って過ごしていける自転車なので、「納得できる良いものに出会って自転車生活を長く続けたい、楽しみたい」と思われている方にモールトンのような歴史もあって奥の深い自転車はオススメです。特に奥の深さは底知れません。普通に乗るだけでも楽しいですが、忙しくて中々乗れなかったり、色々あって乗ることに疲れた時なんかでもモールトンは眺めるだけでも楽しいですし、子憎たらしい細工も多いのでそういうところを探すのも楽しいです。どんどん探求していって「これってもしかして?」みたいな部分を見つけてしまったら乗って確認したくなる。で結局なんだかんだ言ってしばらく休憩するときがあっても乗り続けられる。乗っても考えても楽しい自転車なんです。

今回のAM-20完成画像はこちら>>>(AM-20 No.24)