2012-07-18

Double Pylon Stainless(New Blue) 組み立て Part.2

Part.1に続いてフレームの組み立てです。
フレームを錠盤に載せてアライメントをチェックします。

リアフォークのアライメントを確認したところ、自分の考える規定範囲からセンターが外れ過ぎている上に、ブレーキブリッヂのセンターも結構ズレていたので作り直しを依頼しましたが、参加を予定されているサイクルイベントが近づいていたので、依頼主のお客さんと相談して一旦はこのまま組み上げて、新しいフォークが到着したら差し替えるという事になりました。

英国から届いたフレームは、フレームの下処理が一切されていないので、パーツを取り付けている下玉押しも一度取り外してフェースカットし直します。


 コラムにステムを入れようとしたらコラムの内径が厚く、硬くて入らなかったので内部をリーマー掛けしました。以前もたまにこういう事があったんですが、最近はこれが結構多くなりましたね。

リーマー掛けした後はステムが入るようになりました。

ダブルパイロンのヘッドベアリングは形状が特殊で、水滴侵入を防ぐための専用ゴムシールが取り付けられています。この辺りが自動車のようでおもしろいですね。
このゴムシールも初期モデルから変更されていました。左の赤が初期モデルで、ステンレスが今回入荷したものです。コラム径が変更されたので、ここも変更したんでしょうね。

ヘッドベアリングにグリスを注入して、ヘッドベアリング廻りの組み立てが完了。
どんどん組み進めていって、タイヤを付けたホイールをフロントフォークに合わせたところ「あれぇ??ブレーキブリッヂの位置が低いやんか…。フトンロフォークも作り変えてもらわなアカンのか…」この辺でドーッと疲れが出ましたが、気を取り直して再度モールトン社に再製作の依頼をしました。

リアサスペンションのハイドロラスティックに指定の空気圧を入れて一晩置いておいたら、ボンドのような液体がにじみ出ていました。これは代理店に在庫があったので交換してもらったので良かったです。

今回のお客さんは、今までロードバイクを乗り継いで楽しまれていたんですが、ロードはどうもハンドルの高さが低すぎて長時間乗ると腰が痛くなると言われていたので、このモールトンはその辺りを改善できるようにポジションを確認しました。
お客さんに合わせたポジションセッティングも終えて一旦納めましたが、フロントフォークとリアフォークが届いたら差し替えます。

もっと負担の掛からない自転車が欲しいということでダブルパイロンを購入されましたが、使い方はロードと変わらないそうで、今月に開催された宮崎県のトライアストン(Swim1.5km / Bike40km / Run10km)にモールトンで参加してみたり、9月に開催される出雲路センチュリーライド(160km)も、ロードで出ようかモールトンで出ようか検討されています。

宮崎のトライアスロン後に来店されたんですが、率直な感想を聞きたくて少し不躾な質問をしてみました。(すみません)
Q : 気遣わんと率直に言うて、どう?やっぱりロードの方が楽?
A : いや、すごい楽に走れた。Bike後のRunのしんどさが去年と全然違って、サスペンションが効いてたんやと思う。
Q : フレクシター(フロントサスペンション)はロックした?
A : いや、ロックしなくても全然行けた。っていうかロックするつもり無かったから。(ロスという意味では)全然気にならへんかったなぁ。
Q : 楽やったということは、やっぱりタイムは落ちてしまった?
A : タイムは少し落ちたけど、基本的にいつもタイムとか気にしてなくて、楽しく参加できれば良いと思ってて。トライアスロンは完走を目標にしてるから、しんどくない方が全然良い。ポジションも楽やったし、体力的に余裕があったから気持ちにも余裕ができて、去年に比べてめちゃめちゃ楽やった。

とこんな感じで、もっと色々と聞いたんですが失礼な質問にも率直に答えていただいてありがとうございました。タイムが少し落ちたと言われていましたが、そんな時間で帰って来れんの?っていうぐらいのタイムで驚きました。でも "楽やった” と言ってもらえてすごく嬉しいです。
自分の組んだ自転車のその後や活用されていく様子を見たり聞いたりするのって本当に嬉しいですし楽しいです。お客さんからのこういった声は何ものにも代えられません。ブログやホームページに綴ることで大切に残していきたいと思います。