2019-01-02

DV-1 自腹 impression

新しいモデルが出ると試乗車という物が出てきますが、
それに乗ったとしても、ある程度の感覚までしか感じる事はできないと思っています。

何故なら:

◎自分の自転車と試乗車とのライディングポジションが違うために
前後の荷重配分変わり、サスペンションの動き方にも差が出てしまう。

◎自分の自転車と試乗車のパーツ構成が異なる。
自転車はとても繊細な乗り物であるがゆえに、ハンドル幅、ブレーキレバーの形状、
コンポーネントのグレード差による摩擦抵抗、
タイヤ性能やタイヤ幅による抵抗などが違うので比較しにくい。

◎走り慣れた日常のコースで比較したい。

このような多くの条件を揃えようと思うと試乗車では限界があるために、
自身でフラッグシップモデルのDouble Pylonや17インチモデルを購入したのと同様に、
新たにDV-1を購入して同じような条件でインプレッションすることにしました。

以下は「自腹インプレッション」になります。
仕様は、SRAM eTAP 電動シフト、前後ハブはCampagnolo Record、
ステムは、モールトンウィッシュボーン(スレッド)です。



◎ペダルを踏んだ時の進みの軽快さ。
リアフォークとフロントフォークの剛性が高まった恩恵。
リアフォークピボットに採用されている精度の高いピロボールベアリングとボルトの
組み合わせにより、従来のモールトンと比較してガタつきが抑えらて、
ペダルを踏んだ時のダイレクト感が感じられた。
フロントフォークの高い剛性も寄与している。
左:モールトンのピボットブッシュ
右:DV-1 ピロボールベアリング&ボルト
下:DV-1 ピロボールベアリング「参照:ダイナベクター(株) DV-1 開発秘話Q&A -リアまわりについて-」

左:DV-1 リアフォーク(パイプ径を上げて剛性を高めた)
右:モールトン17インチシリーズのリアフォーク

◎リアフォークの構造。
モールトンの20インチシリーズのリアフォークは、
ボトムブラケットハンガー(クランクセット)と同一線上にある一体構造のため、
ペダリングロスが抑えられておりダイレクトな加速感を感じるが、
この構造と比較しても遜色ないダイレクト感が得られる。

モールトン20インチシリーズとDV-1のリアフォークは
以下のように異なった構造をしている。
左:モールトン20インチシリーズのボトムブラケットハンガー(リアフォーク側)
右:DV-1のボトムブラケットハンガー(シートチューブ側)
下:モールトン17インチシリーズのボトムブラケットハンガー(シートチューブ側)

構造が違うにも関わらず、
DV-1はリアフォークとフロントフォークの剛性が高まったことで
20インチシリーズと遜色ないダイレクトなペダリングが体感できる。


◎フロントサス以上に驚いたのがリアの日本製ラバーコーンの動き。
ラバーコーン先端(プッシャー辺り)に触れると、
体重の軽い私でもとても細かく動いているのが分かる。
従来のモールトン製ラバーコーンとバネレートが同じなのに、腰砕け感が無く、
絶妙にコントロールされたゴムの粘性の恩恵で改良されたラバーコーンと感じる。
サドルへの突き上げがあまり感じられなかった。

◎フロントサスペンションの反応の良さ。
日常使い主に通勤時に、時々フロント・サブフォーク肩やブレーキ本体に触れて、
サスペンションの動きを確認するのが好きで(ちょっとマニアック)、
DV-1も同じ事をすると物凄く細かくよく動いているのが感じ取れる。


◎AMシリーズやTSRなどに採用されているリーディングリンク式サスペンションは、
フロントブレーキをかけるとサスペンションが沈み込んでしまう。
そのため下りでフロントブレーキをかけると、
サスペンションが沈みきってフロントタイヤに荷重が掛かるまで少し間合いがあります。
DV-1ではパイロンやニューシリーズ等のフロントサスペンション同様、
アンチダイブ機構を持つので、フロント荷重が素早くかけられるために、
タイヤグリップ力が保たれてコーナーのラインが乱れず、抜け出しやすいと感じた。


◎車体の安定感。
下りでハンドルを左右に振っても小径によるクイック感が無く、車体を倒しやすかった。
17インチの小径を感じさせない安定感。
フロントフォークのトレールが改善された影響。


◎サスペンションの動きをより正確に感じ取りたいので、タイヤ圧は高めの8気圧に設定。(空気圧が低い設定だと、サスペンションが吸収できなかった振動をタイヤが吸収するのを防ぐため)
道路の点字を乗り上げた時や小さめの路肩に進入した時のフロントサスペンションの動き出しが速いので、あまり衝撃を感じなかった。
自身所有の初期型ダブルパイロンに採用されているフレクシター(比較的柔らかめ)の
動きと遜色ないスムーズさ。


現時点でのDV-1の印象は、

◎サイクリングロードを心地良いケイデンスで回すと、
気がつくとスピードが27,8km出ていた。
スムーズに速度が上がっていく感覚。
現行モールトンの頑丈なトラス構造フレームがブラッシュアップされた剛性感。


◎17インチモデルの漕ぎ出しの軽さ、
20インチのフラッグシップモデルに採用されている摩擦ゼロのフレクシタースプリングと両者のよいところを凝縮したように感じる。


◎モールトンバイシクルの特徴は、
タイヤが路面から離れないロードホールディングの良さ、
DV-1の絶妙なサスペンションにより、これがさらに高まった感じ。


◎薄く強固な塗膜「セラミックコート」。
米軍の銃器にも使われているセラミックコートが新しいですね。
量産自転車への使用はDV-1が世界初だそうです。
薄くて強固なセラミックコートは、撥水性が高いので汚れがつきにくく、落としやすい。
最近流行りのマット塗装とは佇まいが違いますね。


ここからは、長年乗り、親しんできたモールトン17インチAM-GT MK1との比較です。
いつもの通勤路を少し遠回りして、行きはDV-1、帰りはGTで、
その逆パターンでも何度も走り、感じた印象です。

◎マンホールに入った瞬間のサスの入りはGTもDV-1も極端には変わりませんが、
マンホールの真ん中〜出口までの振動吸収は、DV-1の方が良いです。
ということは追従性が良いんでしょうね。
GTのリーディングリンク式サスペンションも早く動くようにセッティングしてありますが、速くて細かい動きの連続には限界がある一方、DV-1はそれが継続できる感じで、
サスペンションが細かく震えている感覚があります。


◎乗りながらGTのラバーコーンも触れてみましたが、
DV-1ほど細かく動いていませんでした。
GTはラージキャリアにノートPC2台と他諸々積んで荷物のみで16kgでトータル重量約26kg、DV-1はDayバックに携帯ポンプやチューブ、財布など諸々でトータル10kg強、
両者のリア荷重の差はとても大きいのに、
ラバーコーンの動きが結構違うのは面白い発見です。
そもそも重量がこれだけ違うと、荷物が重すぎてサスの反応が鈍く感じ、
荷物が軽いことで反応が早く感じたということも考えられますが、
それにしてもDV-1のラバーコーンの動きは素早いと感じました。
これに限らず、全体の剛性感、バランス、動きについては、
条件や状況で細かく変わってくると思うので、
これまた面白い乗り物に出会えたと嬉しく思います。


まとめ

 ダイナベクター富成氏からDV-1プロトタイプの製作依頼を受けて数台作りました。
DV-1の構造について少しづつ理解しながら、その良さを感じていきましたが、
モールトンバイシクルに対する愛情の深さゆえに、
DV-1について少し懐疑的に見ていたかもしれません。

 しかし、実際に購入し手持ちのダブルパイロンやAM-GT Mk1、
家内のAM-20Mk1とAPBと、通勤で使って比較していくと、
その半信半疑の気持ちが逆転して、DV-1の良さと楽しさが倍増しています。
 
 だからといって、既存のモールトンバイシクルが決して劣っているのではなく、
モールトンバイシクルの乗り心地の素晴らしさをベースに、
さらに進化した一台になっていると感じています。

 モールトンバイシクルはそれぞれのモデルに魅力がありますが、
近い将来モールトンを全く知らないお客さんでもDV-1が選択の候補に入ればいいなと思っています。

DV-1各部詳細や開発秘話
→ ダイナベクター(株)オフィシャルサイト -DV-1特設ページ-