2012-05-26

Moulton APB (Yellow) 全塗装&オーバーホール Part.2

Moulton APBの全塗装&オーバーホール Part.2です。(Part.1はこちら
塗装が上がってきたのでフレームの組み立てに入ります。
リアフォークのピボットブッシュを圧入していきますが、作業前に塗膜を研磨したり、フレーム内部に錆止めのスプレーを拭きます。

左)銅色のブッシュが圧入できたらスピンドルを挿入しますが、ブッシュを圧入した時にほんの少しブッシュの内径が小さくなりスプンドルが入らなくなるので、ガタが出ない程度にリーマー掛けをします。
右)フレーム幅よりもスピンドルの方が長かったので(→の部分)、旋盤で削って長さを調整します。

フレームには個体差があるので、フレーム幅よりもスピンドルの方が長い場合がほとんどです。スピンドルが長いとガタが出やすく、スピンドルが短いと動きが固くなってサスペンションがきちんと働きません。微妙な塩梅なので現物合わせで加工します。

左)リアフォークの組み付けが終わると、ボトムブラケットのハンガーをタッピング・フェースカットします。
右)フェースカットが出来れば、錠盤に載せてフレームアライメントの点検をします。

シートチューブがフレーム中心より片方にズレていたので、シートポストを差し込んで出来る範囲で修正します。グイグイっと力を入れますが、パイプ径が太いのでそんな簡単にはいきませんね。

ヘッドベアリングもシマノ製に交換します。上ナットの隙間が手で持っているワッシャよりも広かったので、1mm弱コラムを切りました(右画像)。

再塗装の際にフロントサスペンション内部に塗膜(左画像)が入り込んでいたため右画像のように研磨します。

元々付いていたサスペンションピストンは、すごく削れていたので交換します。
左)元のピストン、右)新品

長期間サスペンションのオーバーホールを行っていない場合は、グリスの効果が下がり、サスペンションパーツが削れたりすることがありますが、それでもここまで削れる事はあまりないですね。今回の場合は当店で新車整備を行っていない車両なので何とも言えませんが、このように削れ方が激しい場合は新車整備の時点でフォーク内側のバリ(凹凸)を研磨していなかったために現れた症状だと思います。

その症状はサスペンションスプリングにも現れていました。スプリングが摩擦で平たく削れていました。これも交換ですね。
左)元のスプリング、右)新品


フォークエンドのブッシュも、すり減ってかなり状態が悪かったので交換しました。

左)フロントフォークのアライメント(平行度)もズレていました。
右)修正後。この平行度を出す作業は至って一般的な作業で決して特殊な作業ではないですね。だから錠盤も必要ありません。

フォークの平行度は錠盤が無くても修正出来ますが、フォーク左右の開きや歪みの修正には錠盤が必要になってきます。

上記の作業では、メインフォーク、サブフォーク、それぞれ単体で作業していましたが、2本のフォークを組み立てた状態でもアライメントを点検しておきます。
1本1本きちんと修正していても、組み立てると大抵はズレてしまっているからです。


再度、フロントフォークを組み付けた状態でフレーム全体のアライメントを確認してフレームの組み立ては終了です。次はいよいよパーツの組み付けですね。